投資の世界に足を踏み入れると、誰もが少なからず似たような経験をします。株式や投資信託、仮想通貨に至るまで、金融商品は違えど人間心理は共通しています。この記事では多くの投資家が共感する「投資家あるある」を紹介しながら、その裏にある心理や改善策を解説していきます。

何度も株価をチェックしてしまう
投資を始めたばかりの人に特に多いのが「一日に何度も株価をチェックする」という行動です。スマホに証券アプリを入れて、朝の寄り付きから昼休み、帰宅後まで気になって仕方がない。わずか数円の値動きに一喜一憂してしまうのは、ほとんどの投資家が通る道です。
この行動の背景には「損失回避バイアス」という心理があり、人は得をする喜びよりも損をする恐怖を強く感じやすいと言われています。改善策としては、ポートフォリオ全体のバランスに注目し、短期的な動きではなく中長期のトレンドに意識を向けることが有効です。
含み益はすぐに確定したくなる
「株が上がった!売って利益を確定しよう」──これも投資家あるあるです。少しでも利益が出ると「逃げて正解だった」と安心しますが、実はその後さらに株価が上がり「もう少し持っていればよかった」と後悔するケースも多々あります。
逆に含み損は「いつか戻るはず」と塩漬けにしがち。これは「プロスペクト理論」によって説明でき、人は利益を早く確定したくなり、損失を確定するのを嫌う傾向があるのです。
長期投資を意識するなら、チャートの短期的な値動きに左右されず、あらかじめ決めたルールに沿って売買することが大切です。
「次のテンバガー」を探してしまう
SNSや投資本を読んでいると、必ず目に入ってくる「テンバガー(株価10倍銘柄)」。実際にそうした成功例はありますが、それを狙って投資すると多くの場合は失敗します。
投資家あるあるとして「次の大化け株」を探す旅に出てしまい、結果として割高な銘柄を掴んでしまうパターンは非常に多いのです。
ここから学べることは、「テンバガーを狙うよりも、まずは堅実な成長株やインデックス投資で基盤を築く」こと。長期的なリターンは、派手な一発よりも着実な積み重ねで得られるものです。
決算発表でドキドキする
四半期ごとの決算シーズンになると、多くのトレーダーがソワソワします。保有銘柄の決算短信が出る時間まで手に汗を握り、予想外の下方修正や赤字決算に直面して「なぜこの株を買ったんだ」と自問自答する……。
投資家あるあるのひとつは、「決算発表が近づくと株価が下がる気がして売りたくなる」ことです。これは不確実性への不安からくる心理であり、実際に決算またぎを避ける投資家も少なくありません。
経験を積むと「短期的な決算結果に振り回されず、長期的な成長ストーリーを信じて保有する」というスタイルが身につきます。

高配当株に安心しがち
「配当があるから安心」と考えて高配当株を好むのも投資家あるあるです。実際、安定的に配当を出している企業は信頼できますが、配当利回りだけに目を奪われると危険です。
配当性向が高すぎたり、業績が悪化して減配や無配になるケースもあります。投資家にありがちなのは「高配当だから安全」という思い込み。大事なのは、配当の持続可能性や企業の成長性を確認することです。
為替の動きに一喜一憂する
米国株や海外ETFを保有していると、為替の動きが気になって仕方がありません。円高に振れると「ドル建てではプラスなのに円換算でマイナス」、円安に振れると「為替差益で思わぬ利益」といったように、投資家は日々為替に振り回されがちです。
投資家あるあるとして「円安のときは外貨投資に躊躇し、円高になると怖くて買えない」という逆張りになりやすい行動も典型的です。為替リスクを和らげるには、ドルコスト平均法を活用するのが有効です。
投資系YouTubeやSNSを見すぎる
最近の投資家あるあるは「SNSやYouTubeに頼りすぎる」ことです。人気インフルエンサーの発言に影響されて銘柄を買ったり、煽り記事に釣られて短期売買を繰り返すのは典型的な失敗パターン。
情報収集は大切ですが、鵜呑みにせず、自分で調べて判断する姿勢が必要です。経験を積むほど「情報は玉石混交」であることを痛感します。

長期投資と言いながら短期売買してしまう
「自分は長期投資家」と言いながら、実際には株価の上下に反応して頻繁に売買してしまう──これも投資家あるあるです。長期投資を貫くのは、口で言うほど簡単ではありません。
短期的な値動きに惑わされずに長期視点を保つためには、投資目的を明確にすることが有効です。老後資金なのか、教育資金なのか、それによってリスク許容度も変わります。
まとめ 投資家あるあるから学ぶべきこと
投資家あるあるは笑い話のように聞こえますが、その裏には人間の本能や心理的なバイアスが隠れています。
- 株価チェックをやめられない
- 含み益は早く確定したい
- 含み損は抱え込みがち
- テンバガーを夢見て失敗する
- 決算や配当に振り回される
- 為替に敏感になりすぎる
これらの行動は殆どの投資家が一度は経験するものです。しかしその経験を繰り返しながら徐々に冷静な判断力を身につけ、投資家として成長していくのです。
「あるある」に共感しつつ、自分の行動を客観的に見直すこと。それこそが、長期的に資産を増やすための第一歩といえるでしょう。