2008年9月、リーマン・ブラザーズの破綻によって世界中の金融市場は大混乱に陥り、株価は歴史的な暴落を経験しました。投資家にとっては恐怖の局面でしたが、裏を返せば絶好の投資チャンスでもあったわけです。
では、もしリーマンショック後の底値で日本株と米国株に投資していたら、2025年現在どのような成果を得られていたのでしょうか?為替の影響も加味してシミュレーションしてみます。

リーマンショックと日米株価の底値水準
日本株(日経平均)
- 2007年高値:18,000円台
- 2008年10月28日:一時 6,994円 まで急落
- 1年半で60%以上の下落
米国株(S&P500)
- 2007年高値:1,576ポイント
- 2009年3月9日:666ポイント(リーマンショック後の最安値)
- 下落率は約57%
どちらの市場も半値以下に下落し、投資家心理は極度の恐怖状態にありました。
為替レートの動き
米国株投資においては株価の上昇だけでなく「為替レート」がリターンに大きく影響します。
- 2008年末:1ドル = 約90円
- 2009年3月:1ドル = 約95円
- 2012年末:1ドル = 約86円(円高)
- 2015年:1ドル = 約120円(円安)
- 2025年現在:1ドル = 約145円
つまり、リーマンショック直後に米国株を購入していた場合、株価上昇+円安効果 のダブルメリットを享受できたことになります。

シミュレーション①:日本株に100万円投資した場合
2008年10月末、日経平均株価が7,000円近辺で推移していたタイミングで100万円を投資したと仮定します。
- 2008年10月:100万円投資 → 約14.3株(仮にETF換算で7,000円)
- 2025年8月:日経平均 約38,000円
- 評価額:約543万円
配当を含めて再投資していた場合、日経平均の利回りを考慮すると 約600万円以上 になっていた可能性があります。
シミュレーション②:米国株に100万円投資した場合
同じ時期、2009年3月のS&P500(666ポイント)で100万円をドル転して投資したと仮定します。
- 2009年3月の為替:1ドル = 95円
- 100万円 ÷ 95円 = 約10,526ドル分の投資
- S&P500指数(2009年3月):666ポイント
- S&P500指数(2025年8月):約5,500ポイント
指数の上昇倍率は約 8.3倍。
- 10,526ドル × 8.3倍 = 約87,000ドル
- 2025年為替:1ドル = 145円
- 円換算すると約 1,261万円
つまり同じ100万円を米国株に投資していた場合、12倍超のリターン になっていた計算です。
日米投資のリターン比較(2009年投資 → 2025年現在)
- 日本株(日経平均):100万円 → 約600万円
- 米国株(S&P500+為替効果):100万円 → 約1,260万円
米国株の方がリターンは圧倒的に高く、さらに為替の円安効果が大きな後押しとなっていることがわかります。
代表的な個別株シミュレーション
日本株
- トヨタ自動車(7203)
2008年末:約2,500円 → 2025年:約3,800円
倍率:約1.5倍(配当込みで3倍弱) - ソニー(6758)
2008年末:約1,600円 → 2025年:約14,000円
約9倍(復活銘柄の代表例)
米国株
- アップル(AAPL)
2009年初頭:株価分割調整後で約0.2ドル → 2025年:約200ドル
なんと約1,000倍近い成長 - アマゾン(AMZN)
2009年:株価分割調整後で約6ドル → 2025年:約180ドル
約30倍の上昇
米国株の中でもGAFAのような成長株に投資していれば、リターンはさらに桁違いになっていました。
投資家が学ぶべき教訓
暴落時にこそ投資チャンスがある
リーマンショックの底値は「絶望的な状況」でしたが、そこが最高の買い場になっていたことは歴史が証明しています。
日本株は堅実、米国株は成長
日本株も大きな回復を遂げましたが、米国株は経済成長力と企業の競争力により、リターンは圧倒的に高くなりました。
為替の影響を見逃さない
米国株の高リターンは株価の上昇に加え、1ドル90円台 → 145円 という円安が強く寄与しています。海外投資では為替を無視できません。
長期投資の威力
2008年〜2025年という約16年間、投資を続けていれば「数倍から数十倍」のリターンが実現していたのです。

もし積立投資していたら?
一括投資が難しい人でも、積立なら現実的です。
- 2009年から毎月3万円を日経平均ETFに投資 → 元本576万円 → 約1,000万円前後
- 同じく米国株ETF(S&P500連動)に投資 → 元本576万円 → 約2,500万円以上
「一括で底値を当てる」のはほぼ不可能ですが、積立ならドルコスト平均法で自然に安値を拾えるため、長期リターンを確保できます。
今後の投資戦略にどう活かすか?
- 暴落を恐れず、むしろ投資チャンスと捉える
- 日本株は安定感、米国株は成長力と為替メリットに注目
- 積立投資を続けることで「未来のリーマン級」に備える
リーマンショックのシミュレーションは、「将来また訪れる不況をどう捉えるか?」という投資家の姿勢を考えるヒントになります。

まとめ
もしリーマンショック後の底値で投資していたら…
- 日本株:100万円 → 約600万円
- 米国株(為替込み):100万円 → 約1,260万円
米国株のリターンは圧倒的であり、日本株と比較しても2倍以上の成果を残しました。とはいえ日本株も安定して業績を伸ばしてきた銘柄も存在し、選び方次第では堅実に大きな成果を得られることも可能です(杉山は堅実路線の方が好きです)。
この歴史的なシミュレーションから学べるのは、
- 暴落は恐れるのではなく「チャンス」
- 長期投資・積立投資が最強の戦略
- 為替を含めた視点が海外投資には不可欠
という点です。
次に同じような「歴史的暴落」が来た時に、勇気を持って投資を継続できるかどうか。これが将来の資産形成を左右する最大のポイントになるでしょう。