1. SPYDの基本情報
SPYDは、アメリカの運用会社「ステート・ストリート」が提供するETF(上場投資信託)で、正式名称は
SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF です。
- ティッカーシンボル:SPYD
- 上場市場:NYSE Arca(ニューヨーク証券取引所)
- ベンチマーク:S&P 500 High Dividend Index
- 設定日:2015年10月
- 経費率:0.07%(2024年時点)
SPYDは、S&P500指数に採用されている企業のうち、配当利回りの高い80銘柄に均等分散投資するETFです。配当利回りの高さと低コストが魅力で、日本の個人投資家からも人気があります。
↓S&P500についてはこちら

2. SPYDの投資対象と特徴
2-1. 投資対象:S&P500高配当80銘柄
SPYDは、米国の代表的な株価指数であるS&P500の構成銘柄の中から、配当利回りの高い上位80銘柄を選び、均等比率で組み入れます。つまり、景気敏感株や高配当セクター(エネルギー、不動産、公益事業など)が多く含まれる傾向があります。
2-2. 均等加重方式
SPYDは、時価総額に応じた加重ではなく、均等加重(各銘柄をほぼ同じ比率で保有)するのが特徴です。これにより、一部の大型株に偏らず分散効果が得られます。
2-3. 配当利回りの高さ
SPYDは米国高配当ETFの中でも利回りが比較的高いことで知られています。過去の実績では4〜5%程度の配当利回りがあり、定期的に配当を受け取りたい投資家に向いています。
3. SPYDのメリット
3-1. 高配当による安定したインカムゲイン
SPYDは配当重視の設計で、年4回(3月・6月・9月・12月)配当金が支払われます。定期的な現金収入を得られるため、配当金を生活費や再投資に活用できます。
3-2. 低コスト運用
経費率は0.07%と非常に低く、長期投資でもコスト負担が少なく済みます。
3-3. 分散投資の効果
80銘柄に均等分散されるため、特定の企業の業績悪化による影響が軽減されます。
3-4. 為替リスク込みで米国投資が可能
円をドルに換えて購入するため、円安時には為替差益も期待できる一方、ドル建て資産を持つことで資産の分散にもつながります。

4. SPYDのデメリット・リスク
4-1. 株価変動リスク
高配当銘柄は景気に左右されやすく、株価が大きく下落する可能性があります。特に不況時は配当カットや株価下落のダブルパンチとなることもあります。
4-2. セクター偏重
エネルギー、不動産、公益など特定セクターの比重が高くなる傾向があります。これにより、景気循環や金利変動の影響を受けやすい特徴があります。
4-3. 為替リスク
円安時には有利ですが、円高に振れるとドル資産の評価額が下がるリスクがあります。長期投資では為替変動が平準化される可能性もありますが、短期的には注意が必要です。
4-4. 成長性の低さ
高配当銘柄は成熟企業が多いため、配当重視だが株価成長は緩やかという特徴があります。キャピタルゲインを狙う投資には向きません。
5. SPYDと他の高配当ETFの比較
米国の高配当ETFとして有名なのは、SPYD以外に以下があります。
- VYM(バンガード米国高配当株ETF)
→ 高配当かつ大型株中心、分散性が高い、利回りはやや低め(3%前後) - HDV(iシェアーズ米国高配当株ETF)
→ 財務健全性を重視、高配当かつ安定配当の企業に厳選 - SPYD
→ 配当利回りは最も高め、セクター偏重・景気敏感株多め
配当利回り重視ならSPYD、安定性重視ならHDV、分散性重視ならVYMという特徴があります。
↓HDVについてはこちら
6. SPYDの配当実績
SPYDは年4回の分配金を出しており、2020年のコロナショック時には一時的に減配がありましたが、その後は回復傾向です。
過去数年の配当利回りはおおむね4〜5%前後で推移しており、インカム目的の投資家に人気があります。
7. SPYDの購入方法(日本からの投資)
7-1. 証券会社を選ぶ
SPYDは米国ETFのため、SBI証券・楽天証券・マネックス証券など米国株取扱いのあるネット証券で購入可能です。
7-2. ドル転または円貨決済
日本円で米ドルに両替(ドル転)して購入するか、円貨決済で購入する方法があります。手数料の低いドル転が一般的です。
7-3. NISAの活用
2024年から始まった新NISAでもSPYDを購入できます。配当金にかかる税金(米国課税10%+日本課税20%)のうち、日本課税分を非課税にできるメリットがあります。

8. SPYDはどんな人に向いている?
- 配当金を重視する投資家
- 毎年のインカム収入を得たい人
- 成長株より安定配当株を好む人
- 米国株で分散投資したい人
- 為替リスクも許容できる中長期投資家
逆に、短期での値上がり益を狙う人や、値動きの安定性を求める人には向きにくいETFです。
まとめ
SPYDは、S&P500の高配当株80銘柄に均等分散することで、高配当かつ低コストを実現したETFです。景気敏感株や特定セクターへの偏りといったリスクはあるものの、配当利回りを重視した長期投資に適しています。
- 高配当・低コスト・均等分散が魅力
- 景気や為替の変動に左右されるリスクあり
- VYMやHDVと組み合わせてポートフォリオを組むのも有効
米国株投資の中でも「配当重視」の戦略を取りたい人にとって、SPYDは有力な選択肢のひとつといえるでしょう。
↓ETFについてはこちら