PERは、株式投資で会社の株価が割安か割高かを判断するための代表的な指標です。
正式名称はPrice Earnings Ratioで、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。

計算式は以下の通りです: PER=株価÷1株当たり利益(EPS)
または、 PER=時価総額÷純利益
この指標は、「その株を買うと、会社の利益に対して株価が高いか安いか」を表すものです。
PERの基本的な考え方
PERは株価が利益の何倍になっているかを示します。
- PERが低い → 利益に比べて株価が安い(割安株)
- PERが高い → 利益に比べて株価が高い(割高株)
例:PERの計算
- ある会社の株価:1,000円
- 1株あたり利益(EPS):100円
PER = 1,000 ÷ 100 = 10倍
→「その会社の株価は、年間利益の10年分の価値で評価されている」という意味です。
↓EPSについてはこちら
PERの目安
- 10倍以下:かなり割安(ただし業績悪化の可能性も)
- 15倍前後:標準的(日本市場の平均)
- 20倍以上:やや割高、または成長期待が大きい
※市場や業界によって基準は変わります。
- 成長産業(IT、バイオ)ではPERが30〜50倍でも許容されることあり
- 安定産業(銀行、鉄道)はPER10倍前後が多い

PERを参考するメリット
- シンプルで計算しやすい
- 株価と利益さえわかればすぐ算出できる
- 企業間の比較がしやすい
- 同じ業界の中で割安・割高を判断できる
- 株価の水準を利益ベースで評価できる
- 「利益が出ているか」を基準に株価を見られる
PERのデメリット・注意点
- 利益が赤字の会社には使えない
- EPSがマイナスだとPERは計算不能
- 一時的な利益変動に影響されやすい
- 特別損益などで利益が急変するとPERも大きく変わる
- 成長企業には当てはまりにくい
- 成長企業は将来の利益を織り込むため、現在のPERだけでは判断できない。
- 業界ごとに適正水準が違う
- 製造業とIT企業では利益率や成長性が異なるため、単純比較できない。
PERと他の指標の組み合わせ
PERだけでは不十分なので、他の指標と組み合わせて使うのが一般的です。
- PBR(株価純資産倍率)
- 株価が純資産の何倍かを見る
- ROE(自己資本利益率)
- 自己資本に対する利益率
- PEGレシオ
- PERを成長率で割った指標(成長株評価向け)
日本市場と海外市場のPER
- 日本市場の平均PER:約15倍前後
- 米国S&P500平均PER:20倍前後
- 新興国市場:10倍以下になることも
→国や市場によって適正PERは異なるため、比較には注意が必要です。

PERの活用方法(実践編)
1. 割安株探し
- PERが市場平均より低い銘柄を探し、「業績が安定しているのにPERが低い=お買い得」と判断
2. 成長株評価
- 成長企業はPERが高くても、将来の利益増加を見込むなら妥当な場合あり
- PEGレシオ(PER ÷ 成長率)で評価するとより正確
3. 業界比較
- 同業他社のPERを比べて、割安・割高を判断する
PERの計算に必要なデータの入手方法
- 証券会社のサイト(SBI証券、楽天証券)
- Yahoo!ファイナンスやTradingViewなどの株式情報サイト
- 決算書(損益計算書の純利益)
PERを使うときの注意点
- 過去の利益ではなく予想PER(来期予想利益)を確認する
- 一時的な業績悪化や特別利益に惑わされない
- 高PERだから即売り、低PERだから即買い…は危険
- 業界平均や市場平均との比較が必須
まとめ
PERは株価が利益の何倍かを表す基本指標で、株の割安・割高を判断するのに役立ちます。
ただし、業績の安定性や成長性、業界特性を考慮しないと誤解を招くこともあります。
初心者は、まず「PERが低い=割安かも?」と考え、そこから業績・財務・将来性も合わせて分析するのが王道です。