PBRは、株式投資で企業の株価が会社の資産に対して割安か割高かを判断する指標です。
正式名称は Price Book-value Ratio、日本語では「株価純資産倍率」と呼びます。
計算式は以下の通りです: PBR=株価÷1株当たり純資産(BPS)
または、 PBR=時価総額÷純資産

PBRの意味
PBRは「会社を解散して資産を売却したら、株価はどれくらいで回収できるか」という目安です。
- PBRが 1倍 → 株価=純資産価値
- PBRが 1倍未満 → 株価が純資産以下(理論的には割安)
- PBRが 1倍超 → 株価が純資産以上(期待値が高い)
具体例で理解するPBR
- 株価:1,000円
- 1株あたり純資産(BPS):800円
PBR = 1,000 ÷ 800 = 1.25倍
→「この株は、会社の純資産価値の1.25倍で取引されている」という意味になります。
PBRの目安
- 1倍未満:解散価値より安い → 割安株とされる
- 1〜2倍:標準的
- 2倍以上:期待値が高く、成長企業に多い。
※業界や企業のビジネスモデルにより適正水準は異なります。

PBRのメリット
- 企業の安全性・資産価値を測れる
- 純資産ベースで会社の価値を見るため、倒産リスクを意識しやすい
- 割安株の発見に使える
- PBR1倍未満の企業は市場で低評価の可能性あり
- 景気循環に左右されにくい
- 利益ではなく資産に基づくため、業績変動に強い
PBRのデメリット・注意点
- 成長企業には向かない
- 成長企業は純資産が少なくても将来利益が見込まれ、PBRが高くなる傾向にあります。
- 純資産の質を見ないと危険
- 資産の中身(不良債権や評価損のある土地など)によっては価値が実態と異なる場合があります。
- 業種による差が大きい
- 銀行や保険会社は資産が大きくPBRが低い
- IT企業やサービス業は資産が少なくPBRが高くなりやすい傾向にあります。
PBRとPERの違い
- PER:利益に対して株価が高いか安いかを測る
- PBR:純資産に対して株価が高いか安いかを測る
→ PERは収益性の指標、PBRは資産価値の指標。
両方組み合わせると、よりバランスの良い評価が可能。
PBRの活用法(実践編)
1. 割安株投資
- PBR1倍未満の銘柄を探す
- 「資産価値より安いのに、利益も出ている」企業は投資妙味があります。
2. バリュー投資の入り口
- ウォーレン・バフェット(伝説級投資家)もPBRを重視
- 安全マージン(資産に対して株価が安い)を確保する投資法
3. 業界比較
- 同業種内でPBRを比べ、低評価の銘柄を発掘できる可能性があります。

PBRの限界と補完指標
- PBRだけで投資判断すると「低PBRでも成長しない企業」に投資してしまうリスクあります。
- ROE(自己資本利益率)と組み合わせるのが有効
- 低PBR × 高ROE → 「資産効率が良いのに評価されていない企業」で狙い目
日本市場でのPBRの現状
- 日本企業は総じてPBRが低め(1倍未満の企業が多い)
- 東京証券取引所は2023年以降、PBR1倍割れ企業に改善要請を実施
- 株主還元や成長戦略の強化が求められており、投資チャンスも増えている
まとめ
PBRは、株価が会社の資産価値と比べて高いか安いかを示す指標です。
- 1倍未満 → 割安の可能性あり(資産価値より安い)
- 1倍超 → 成長期待が織り込まれている
ただし、資産の質や収益性も一緒に見ることが大切です。
PERやROEと組み合わせ、業界平均と比較しながら使うことで精度が上がります。