1. 積水ハウスとはどんな企業か?
積水ハウス(証券コード:1928)は、日本を代表する住宅メーカーであり、戸建住宅、賃貸住宅、リフォーム、不動産開発、海外事業と幅広い事業を展開しています。
1950年代創業以来、「人間愛」を企業理念に掲げ、累計建築戸数で世界トップクラスの実績を誇ります。
2024年度時点では、売上高2兆円超、営業利益2,000億円規模と、日本国内だけでなく海外事業も成長ドライバーとなっている点が特徴です。

2. 事業構造と収益源
積水ハウスの事業は大きく5つのセグメントに分けられます。
2-1. 戸建住宅事業
- 主力の「シャーウッド」「イズシリーズ」など鉄骨・木造戸建住宅
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率が高く、省エネ・環境性能に強み
- 国内少子高齢化による市場縮小リスクはあるが、リフォームや建替需要を取り込む
2-2. 賃貸住宅事業
- 「シャーメゾン」ブランドによる集合住宅建設
- 土地オーナー向け提案が中心で、安定的な受注
- サブリース・管理事業も展開しストックビジネス化
2-3. リフォーム事業
- 既存住宅のリフォーム・メンテナンス
- ストック型収益で景気変動に強い
- 高齢化社会・建替需要の増加で安定成長
2-4. 不動産フィー事業
- 商業施設・オフィス・ホテルの開発・売却
- 開発利益が大きく変動するため、業績のブレ要因
2-5. 国際事業
- 米国・オーストラリア・中国など海外住宅市場に進出
- 特に米国での戸建住宅開発が伸長し、売上・利益ともに拡大傾向

3. 積水ハウスの強み
3-1. 国内最大級の住宅建設実績
累計建築戸数は250万戸以上と国内最大級。ブランド力と施工実績により、土地オーナーや顧客からの信頼が厚い点が強み。
3-2. 技術力と環境対応
- ZEH比率が高く、環境性能の高さは国内トップレベル
- 耐震・断熱・防火性能に優れ、長期保証・メンテナンス体制が整う
- ESG投資の観点からも評価されやすい
3-3. ストックビジネスの比率拡大
リフォーム・管理事業の比率が増加し、安定収益源として成長。
戸建・賃貸の新築需要が減少しても、既存顧客からのリフォーム需要で収益を確保できる構造。
3-4. 海外事業の成長ポテンシャル
米国を中心に海外住宅開発が急成長。国内市場が成熟する中、海外市場が成長ドライバーとなっている点は投資家にとってポジティブ材料。
4. 投資家目線での評価ポイント
4-1. 財務健全性
- 自己資本比率は50%前後と高水準
- 有利子負債も事業規模に対して低め
- キャッシュフローも安定的
財務基盤が強く、配当や株主還元余力が大きい点は長期投資に適する。
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4-2. 株主還元方針(2025年8月現在)
- 配当性向40%目安で安定配当
- 自社株買いも定期的に実施
- 2025年度配当は年間135円程度と高水準(利回り4%前後)
高配当かつ増配傾向で、インカム投資家に魅力的な銘柄。
4-3. 株価水準(参考)
- PBR:約1倍前後
- PER:約9%と割安圏
- 配当利回り:4%超
住宅需要減少リスクを織り込みつつも、安定成長と高配当が評価されやすい水準。
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5. 今後の成長戦略
5-1. 海外展開の加速
- 米国の住宅需要は堅調で、戸建開発事業が利益牽引
- オーストラリア、中国でも都市開発を拡大
国内依存から脱却し、海外比率を高める戦略が進行中。
5-2. 環境・ESG分野の強化
- 2050年カーボンニュートラルに向けた住宅技術の開発
- 環境性能住宅でグリーン住宅ローン・補助金活用可能
- ESG投資ファンドからの資金流入期待
5-3. ストック事業の深耕
- 既存住宅のリフォーム・管理・賃貸仲介で利益安定化
- サブスク型住宅サービスなど新モデルも模索
5-4. 都市開発・不動産フィー事業の拡大
- 大規模開発案件(ホテル・オフィス)の収益貢献
- 都市再開発や物流施設の開発も視野

6. リスク要因
6-1. 国内住宅市場の縮小
- 少子高齢化・人口減少による新築需要減少
- 戸建・賃貸の受注が減速する可能性
6-2. 金利上昇リスク
- 米国金利上昇で海外事業コスト増
- 日本国内でも住宅ローン金利上昇で需要鈍化の恐れ
6-3. 資材価格高騰・為替変動
6-4. 不動産市況の変動
- 不動産フィー事業は景気・市況の影響を受けやすく、利益変動要因に
7. 投資家へのまとめ
積水ハウスは、国内住宅トップ企業としてのブランド力と施工実績に加え、海外展開・ストックビジネス強化で安定成長を続ける企業です。
高配当・財務健全・割安水準という三拍子揃った優良株として、長期保有でインカム+緩やかな成長益を狙える銘柄といえます。
一方、国内住宅市場縮小や資材高騰、金利動向など外部要因リスクは存在するため、配分を分散したポートフォリオの一部として組み入れる戦略が現実的です。
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