企業概要と事業内容
ニホンフラッシュ株式会社(証券コード:7820)は、室内ドアや収納関連建材を中心とした住宅用内装建材の製造・販売を行う企業です。
国内市場に加え、中国を中心とした海外市場にも展開しています。
特にマンション向けの内装ドアに強みを持ち、業界内でも高いシェアを誇ります。
近年では、マス・カスタマイゼーション(大量生産と個別対応の融合)を駆使した製品開発と営業活動を行っています。

2025年3月期決算の概要
売上高
2025年3月期の売上高は、約239億7,660万円となりました。
前年同期比で約6.6%の増収となり、堅調な業績を示しています。
国内市場では住宅着工件数の増加が寄与しました。
海外市場では中国を中心とした需要の拡大が業績を押し上げました。

営業利益
営業利益は約7億7,500万円となり、前年同期比で約9.4%の減益となりました。
国内セグメントでは、原材料費の上昇や物流費の増加が影響しました。
一方、海外セグメントでは、為替変動や現地の人件費上昇が利益率に影響を及ぼしました。
当期純利益
当期純利益は、親会社株主に帰属する純損失として約27億9,200万円となりました。
前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益として約13億2,900万円を計上しており、大幅な赤字転落となりました。
主な要因は、投資不動産の評価損や減損処理によるものです。
経常利益
経常利益は約11億2,200万円となり、前年同期比で約11.4%の減益となりました。
営業外収益の減少や為替差損の影響が主な要因です。
また、金融市場の変動も経常利益に影響を与えました。
セグメント別業績
日本セグメント
日本セグメントの売上高は約95億2,200万円となり、前年同期比で約6.9%の減収となりました。
営業利益は約1億900万円で、同じく約9.4%の減益。
住宅市場の成熟化や競争激化が影響しました。
中国セグメント
中国セグメントの売上高は約144億5,400万円となり、前年同期比で約7.8%の減収となりました。
営業損失は約2億3,400万円となり、前年同期の営業利益約3億8,500万円から大幅な赤字転落。
現地の景気減速や人件費の上昇が影響しました。

財務状況
総資産
2025年3月期末の総資産は約423億9,000万円となり、前連結会計年度末より約26億4,200万円の減少となりました。
主な要因は、売掛金の減少や投資不動産の増加です。
負債総額
負債総額は約112億7,200万円となり、前連結会計年度末より約8億7,900万円の減少となりました。
未払金や契約負債の減少が主な要因です。
純資産
純資産は約310億3,600万円となり、前連結会計年度末より約17億6,300万円の減少でした。
利益剰余金の減少が主な要因です。

自己資本比率
自己資本比率は約71.4%となり、前連結会計年度末より約2.1ポイントの増加となりました。
財務の健全性は維持されています。
キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは約25億4,200万円の増加となりました。
主な要因は、貸倒引当金の増加や税金等調整前当期純損失の計上です。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは約11億9,100万円の減少となりました。
主な要因は、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出です。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは約9億3,800万円の減少となりました。
主な要因は、配当金の支払額によるものです。
配当政策
当期の配当金は、期末配当金として1株当たり18円を支払い、年間配当金は1株当たり36円となりました。
次期も同様に、期末配当金として1株当たり18円を予定しており、年間配当金は1株当たり36円を見込んでいます。
株価指標
PER(株価収益率)
PERは、株価が一株当たり利益(EPS)の何倍で取引されているかを示す指標です。
ニホンフラッシュのPERは14.9倍と、業界平均と比較して適正な水準にあります。
これは、株価が利益に対して過度に高くも低くも評価されていないことを意味します。
PBR(株価純資産倍率)
PBRは、株価と一株当たり純資産の比率を表す指標です。
ニホンフラッシュのPBRは0.65倍と、比較的低めの水準にあります。
これは、株価が資産価値に比べて割安に評価されている可能性を示しています。
まとめと今後の展望
ニホンフラッシュは住宅建材を手がける安定企業であり、特に室内ドアに特化した事業で国内外に強みを持っています。
PERやPBRの水準は割安で、長期投資に魅力があります。
財務体質も強固ですが、ここ数年は業績が落ち、配当性向も赤字になっています。
海外市場、特に中国市場のリスクには注意が必要です。
投資家は今後の指標を確認しつつ、自身の投資スタイルに合うかを見極めることが重要です。