本田技研工業(ホンダ、7267)は、日本を代表する自動車メーカーです。
四輪車や二輪車に加え、金融サービスやパワープロダクツまで幅広い事業を展開しています。
投資家にとっては、世界的ブランド力と安定した収益性を持つ銘柄として注目されています。
ここでは業績指標を中心に、投資判断のポイントを解説します。

基本的な株価指標
株価は1,600円台で推移しています。
PERはおよそ16倍前後です。
自動車業界としては中庸からやや割高といえますね。
一方でPBRは0.6倍程度。
資産価値に対して株価は割安という評価も可能です。
配当利回りは4%台を維持しています。
株主還元姿勢の強さを示す水準でしょう。
ROEは6〜7%台に位置。
高収益企業と比べると見劣りしますが、安定的ではあります。
自己資本比率は40%前後と財務体質はまあまあ健全です。
事業構成と売上の内訳
四輪事業が売上の約6割を占めます。
世界中で販売されるシビックやCR-Vなどのモデルが収益の柱です。
二輪事業は約15〜20%の比率を持ちます。
ホンダは世界最大の二輪メーカーであり、特にアジア市場で圧倒的シェアを誇ります。
金融サービス事業も全体の15%前後を占めています。
これは自動車ローンやリースを中心とした収益です。
パワープロダクツは小型エンジンや発電機などで構成され、シェアは小さいですが収益源の一つです。

収益性と利益動向
最新の決算では売上収益は横ばいでした。
ただし営業利益は前年同期比で大幅減となっています。
減益の要因は為替影響とコスト上昇です。
原材料価格や物流費が収益を圧迫しました。
営業利益率は低下し、収益構造の改善が課題となっています。
経常利益も同様に減少傾向にあります。
純利益は為替差損の影響も受けて伸び悩み。
一方で二輪事業は依然として高い利益率を維持しています。
アジア市場での販売が堅調で、全体業績を下支えしています。

成長性の評価
ホンダの成長を測る指標として、ROEとROAがあります。
ROEは6〜7%。
ROAは2〜5%程度です。
世界的な競合メーカーと比べると収益効率はやや低め。
ただし、安定的にプラスを維持している点は強みです。
総資産回転率は低下傾向にあり、効率改善が課題です。
売上高は過去数年で微増にとどまっています。
大幅な成長というより、安定重視の経営が見て取れます。
割安性の分析
PER16倍は、同業他社と比較すると標準的です。
トヨタが10倍前後で推移している点を考えると割高感もあります。
一方でPBR0.6倍はかなりの割安水準です。
資産価値を基準に考える投資家にとっては魅力的。
配当利回りは4%を超えます。
これは国内大型株の中でも高水準です。
安定配当を求める長期投資家に向いた銘柄です。
財務健全性
自己資本比率は40%台で推移しています。
製造業としては十分に健全。
有利子負債は一定規模存在しますが、返済能力には問題ありません。
営業キャッシュフローは安定して黒字を維持。
投資キャッシュフローは電動化関連投資が増加しています。
フリーキャッシュフローはプラスの年とマイナスの年を繰り返しています。
財務基盤は堅固であり、破綻リスクは極めて低いといえます。

リスク要因
為替変動
世界展開している企業なので、ドル円やユーロ円の変動が利益に大きく影響します。
環境規制への対応
欧州を中心とした排ガス規制は厳しさを増しています。
当該国での利益を維持したい場合、EV・ハイブリッドへのシフトが不可欠と言えるでしょう。
原材料価格の上昇
インフレや円安の影響で資材価格が上昇。鋼材やリチウムなど電池関連資材の高騰が収益を圧迫します。
株主還元と配当政策
ホンダは株主還元に積極的です。
配当性向は30〜40%程度を維持しています。
安定した利益配分を重視しています。
自社株買いを実施することも。
これにより株価下支え効果が期待できます。
配当金は毎年安定的に支払われています。
長期的に見れば着実に増配傾向です。
インカムゲインを重視する投資家には適した銘柄と言えるです。
将来戦略と展望
ホンダの今後を左右するのは電動化戦略です。
EVや燃料電池車の投入が急務となっています。
すでに北米市場で新型EVの投入を発表しています。
二輪車も電動モデルの開発を進めています。
さらに、アジア市場での成長が期待されます。
人口増加と都市化の進展で需要は拡大しています。
北米市場ではSUVやピックアップトラックが主力。
高収益車種の比率を高めることが利益回復の鍵です。
研究開発費は増加傾向。
自動運転や電池技術への投資が中心です。

まとめ
本田技研工業(7267)は、割安なPBRと高い配当利回りが魅力です。
一方で営業利益の減少や収益性の低下はリスク要因です。
為替やコスト高の影響を受けやすい点も注意が必要です。
ただし財務体質は堅固で、破綻リスクは低いと言えます。
安定配当を期待する長期投資家には有力な選択肢です。
将来性を重視するならEV戦略の進展を注視すべきですね。
短期的には値動きの荒さが残りますが、中長期では安定感があります。
高配当・バリュー株としてポートフォリオに組み入れる価値がある銘柄といえます。