はじめに
車を購入する際、見た目や快適性、安全性能などは大切でしょう。ですが、少なくとも資産形成を考えている人にとって、重要なのはやはりお金の問題です。購入費だけでなく、燃料費や税金、車検、保険など、車にはさまざまな維持費がかかります。
さらに、2024年からはエコカー減税の制度もあり、新車の普通車には税制上のメリットがある一方で、中古の軽自動車は購入価格が圧倒的に安く済みます。
では実際に10年間乗った場合どちらが総額でお得なのかを、細かい数字をもとに比較していきましょう。

車にかかる費用の内訳とは?
まずは「車を買ったらどのようなお金が必要になるのか」を整理します。
- 車両本体価格:購入時に支払う金額。新車は高額、中古車は安い。
- 税金:自動車税や重量税など。排気量や車種によって金額が変わる。
- 車検費用:2年ごとに必要。普通車はやや高め、軽自動車は比較的安い。
- 自賠責保険:法律で加入が義務付けられた保険。車種ごとに金額が異なる。
- 任意保険:対人・対物補償を考えると必須。普通車は高め、軽は安め。
- 燃料費:ガソリン代。燃費性能や走行距離によって変わる。
- 整備・修理費:中古車は年数が経っているため修理リスクが高い。
つまり「車両本体価格が安い=総額で安い」とは必ずしも言えません。長く乗れば乗るほど、維持費の違いが大きな差になります。
比較対象とする車の前提条件
今回の比較は次の2つのケースを想定しました。
新車の普通車(エコカー減税対象のコンパクトカー)
- 車両価格:200万円
- 燃費:20km/L(ガソリン170円/L)
- 自動車税:30,000円/年(初年度は減免)
- 重量税:減税で初回ほぼゼロ、以降1万円/年
- 車検:10万円/回(2年ごと)
- 任意保険:7万円/年
- 年間走行距離:10,000km
中古の軽自動車(5年落ち)
- 車両価格:50万円
- 燃費:15km/L(ガソリン170円/L)
- 自動車税:10,800円/年
- 重量税:3,300円/年
- 車検:8万円/回(2年ごと)
- 任意保険:6万円/年
- 年間走行距離:10,000km
両者とも10年間乗る前提で計算しています。
10年間の総額シミュレーション
新車の普通車(エコカー減税あり)
- 購入費:200万円
- 自動車税:27万円(2年目以降9年間分)
- 重量税:9万円
- 車検:50万円(10万円×5回)
- 自賠責:12万円(1.2万円×10年)
- 任意保険:70万円(7万円×10年)
- 燃料費:85万円(10,000km ÷ 20km/L × 170円 × 10年)
➡ 合計:約453万円
中古の軽自動車(5年落ち)
- 購入費:50万円
- 自動車税:約11万円(1.08万円×10年)
- 重量税:約3.3万円(3,300円×10年)
- 車検:40万円(8万円×5回)
- 自賠責:10万円(1万円×10年)
- 任意保険:60万円(6万円×10年)
- 燃料費:約113万円(10,000km ÷ 15km/L × 170円 × 10年)
➡ 合計:約287万円
結果:中古の軽自動車が圧倒的に安い
シミュレーションの結果、10年間の総額では
- 普通車(新車):約453万円
- 軽自動車(中古):約287万円
と、166万円もの差が出ました。
つまり「とにかくお得に車を持ちたい」なら、圧倒的に中古の軽自動車が優れています。

お金以外の観点も考慮する必要あり
ただし、車選びは「安さ」だけで決めるべきではありません。
安全面
普通車は衝突安全性能や装備が充実しており、家族で長距離ドライブをする人には安心感があります。一方、軽自動車は車体が小さいため、事故時の安全性では不利です。
快適性
普通車は走行性能や静粛性が高く、長時間運転しても疲れにくいです。軽自動車は街乗りや短距離には十分ですが、高速道路ではパワー不足を感じることも。
下取り価格
10年後の売却を考えると、普通車は数十万円程度の下取りが期待できるかもしれません。が、中古の軽はほぼゼロに近いです。
修理リスク
中古車は年式が古いため、思わぬ修理費が発生する可能性があります。エンジン系や電装系の修理が必要になれば数十万円かかることも。普通車の新車なら、保証期間内であれば修理費はほぼかかりません。

どちらを選ぶべきか?
- コスト重視・街乗り中心 → 中古の軽自動車
- 安全性・快適性・長距離利用 → 新車の普通車
生活スタイルや家族構成、通勤距離などによって最適解は変わります。
まとめ
10年間で総額を比べた場合、中古の軽自動車が圧倒的にお得という結果になりました。ただし「安さ=正解」ではなく、安全性・快適性・修理リスクも含めて判断することが大切です。
車は単なる移動手段であると同時に、生活の質や安心感を左右する大きな買い物です。支出を抑えたい人は中古の軽、長く安心して快適に乗りたい人は新車の普通車、と目的に合わせて選びましょう。