恐怖指数VIXとは?投資家が知っておくべき仕組みと活用法


1. はじめに

株式投資投資信託をしていると、「VIX指数」や「恐怖指数」という言葉を目にすることがあります。
VIX指数は、投資家の不安や恐怖を数値化した指標として知られ、相場の急変時にはニュースでも頻繁に取り上げられます。

特に米国株市場では、VIX指数の動きが投資家心理や相場の先行指標として重視されており、株価急落時に急騰する特性があります。
この記事では、VIX指数の基本から計算方法、投資での活用法、注意点までわかりやすく解説します。


2. VIX指数とは?


2-1. 定義

VIX指数(Volatility Index)は、米国シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出する、今後30日間の予想ボラティリティを示す指数です。
一般的に「恐怖指数」と呼ばれるのは、VIXが株式市場の不安心理と強く連動するためです。


2-2. 何を測っているのか?

VIXは、S&P500指数オプションの価格から算出される将来の株価変動の大きさ(ボラティリティ)を示します。
数値が高いほど市場が「不安・恐怖」を感じており、数値が低いほど「安定・安心」している状態を表します。


2-3. 数値の目安

  • 20以下:市場は安定しており、平常時
  • 20〜30:やや不安定な状況
  • 30以上:恐怖・パニック状態、相場急落局面でよく見られる水準

例えば、2020年3月のコロナショック時にはVIXが80を超え、リーマンショック級の恐怖水準となりました。


3. VIX指数の特徴


3-1. 株価と逆相関の関係

VIX指数は、株価(S&P500)と逆相関の関係があります。
株価が下落するとVIXは急騰し、株価が上昇するとVIXは低下する傾向があります。

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3-2. 平常時は低位安定

株式市場が落ち着いているとき、VIXは10〜20程度で安定します。
そのため、低位の状態が長く続いた後に急上昇する動きが特徴的です。

3-3. 「予想」ボラティリティである点

VIXは「過去の変動」ではなく、「今後30日の変動予想」を示します。
投資家が将来に不安を感じると、オプション価格が上昇し、VIXも上がります。


4. VIX指数の計算方法(概要)

VIXは、S&P500指数オプションのプットオプションとコールオプションの価格をもとに算出されます。
オプション価格には将来の株価変動の予想が織り込まれているため、投資家の恐怖や不安を反映する指標となります。

計算式は複雑ですが、簡単に言えば、

「今後30日間で株価がどの程度動くと市場が考えているか?」

を数値化したものがVIX指数です。


5. VIX指数の投資での活用法


5-1. 相場急落時のリスクヘッジ指標

  • VIXが急上昇したら、株式市場に強い不安が広がっているサイン
  • 投資家はリスク資産を減らし、防衛的なポートフォリオに移行する判断材料となる

5-2. 暴落時の逆張り指標

  • 歴史的に、VIXが40〜50を超える水準はパニック相場であり、その後株価が反発するケースが多い
  • 「恐怖の中で買い向かう」逆張りのタイミングとして活用される

5-3. VIX連動商品による投資

VIX指数自体は直接投資できませんが、VIX先物やETFを通じて間接投資が可能です。

代表的なVIX関連ETF

  • iPath Series B S&P 500 VIX Short-Term Futures ETN(VXX)
    短期VIX先物に連動
  • ProShares VIX Short-Term Futures ETF(VIXY)
    短期VIX先物を対象としたETF
  • 国内ETFでは、VIX連動のブル・ベア型商品も存在(例:NEXT NOTES 日経平均VI先物指数連動型)

5-4. 注意点

  • VIX先物はコンタンゴ(期近安期先高)により長期保有で価値が減少しやすい
  • 短期取引やヘッジ目的での利用が基本
  • 現物株や長期投資との組み合わせでリスクコントロール

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6. VIX指数の活用事例


6-1. コロナショック(2020年3月)

  • 株価急落とともにVIXは80超まで急騰
  • パニック状態を示すサインとして投資家の注目を集めた
  • その後の株価反発局面でVIXは急低下

6-2. リーマンショック(2008年)

  • VIXが80前後まで上昇
  • 投資家心理の極端な恐怖を象徴
  • 逆張り投資のタイミングを示唆する事例として有名

6-3. 日常の相場監視

  • 通常時は10〜20程度で安定
  • 30を超えると「やや注意」、40以上で「パニック水準」と判断

7. VIX指数を見る際のポイント


7-1. 単独ではなく複数指標と組み合わせる

  • VIX単体ではなく、株価指数・為替金利動向と合わせて総合的に判断
  • 米国10年債利回りやドルインデックスとの併用が有効

7-2. 短期変動に注意

  • VIXは短期間で大きく変動するため、日々の上下動に一喜一憂しない
  • トレンドや極端な水準を確認する使い方が適切

7-3. 長期投資の補助指標として使う

  • 長期投資家は、暴落局面での買い増しタイミング確認に活用
  • VIXが極端に高いときは投資妙味が増す一方、リスクも高いことを認識する

8. 投資家へのまとめ

VIX指数は、市場心理を映す鏡とも言える重要な指標です。

  • VIXが高い=市場に恐怖が広がっている
  • VIXが低い=市場が安定している

株価と逆相関の特性から、暴落局面でのリスク回避や逆張りタイミングの判断に役立ちます。
ただし、VIX関連商品は短期向きであり、長期投資には不向きな点に注意が必要です。

投資家としては、VIXを定期的にチェックし、相場の温度感を把握することで、冷静な判断とリスク管理が可能になります。
特に暴落時には恐怖心が強くなりますが、VIXを客観的指標として活用することで、長期的な資産形成に役立てられるでしょう。

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