はじめに
投資を始めたばかりの人にとって「どの銘柄に投資すればいいのか」は大きな悩みです。特に資産形成を目的にするなら、安定した収益と長期的なリターンが期待できる投資先を選びたいもの。
そんな中で近年注目を集めているのが 米国高配当ETFのHDV(iShares Core High Dividend ETF) です。
HDVはブラックロック社が運用するETFで、米国の高配当株に分散投資できる商品。高い配当利回りを維持しながら、安定した銘柄構成で人気を集めています。
この記事ではHDVの基本情報、魅力、メリットとデメリット、そして投資する際のポイントをわかりやすく解説します。

HDVとは?基本情報をおさらい
HDVの概要
- 正式名称:iShares Core High Dividend ETF
- ティッカー:HDV
- 運用会社:ブラックロック(世界最大の資産運用会社)
- 設立:2011年3月
- 投資対象:米国市場に上場する財務健全で持続的に配当を支払う企業
- 配当頻度:年4回(3月・6月・9月・12月)
HDVはモーニングスター配当フォーカス指数に連動するETFです。この指数は配当実績が安定しており、かつ財務の健全性が高い企業を選別して構成されます。そのため、単に高配当なだけでなく「持続的に配当を支払える企業」に投資できるのが特徴です。
経費率
HDVの経費率は 0.08% と非常に低コストです。米国ETFの中でも「コア商品」と呼ばれるだけあり、長期投資に向いている設計になっています。
HDVが人気な理由
安定した配当利回り
HDVの配当利回りはおおむね 3〜4%前後 で推移しています。高配当ETFとしては中堅ですが、長期的に安定している点が投資家から支持されています。リスクを抑えつつ配当を得たい人にとって、HDVは魅力的な選択肢です。
財務健全な企業に厳選投資
HDVの構成銘柄は、財務健全性が評価された企業に絞られています。単に配当利回りが高い企業を集めるのではなく、将来的にも持続可能な配当が期待できる企業を中心に組み込むことで、減配リスクを低減しています。
セクターの分散が効いている
HDVはセクター別に分散されていますが、特に エネルギー、ヘルスケア、生活必需品 の比率が高い傾向にあります。これらのセクターは景気変動に強く、不況期でも業績が安定しやすいという特徴があります。
結果的にHDVは相場全体が不安定な時期でも下落を抑える効果が期待できます。
米国市場に手軽に投資できる
米国株は世界中の投資家から注目されていますが、個別株を選ぶのは難しいものです。HDVなら、米国の高配当株に幅広く分散投資できるため、初心者でも安心して投資を始められます。
為替ヘッジなしでドル資産を持てる
HDVは米ドル建てのETFです。そのため、円安局面では為替差益も期待できます。将来の資産をドル建てで保有しておくことは、日本円の価値が下がるリスクへの分散にもつながります。

HDVの構成銘柄と特徴
HDVの組入上位銘柄には、以下のような世界的企業が含まれています。
- エクソンモービル(エネルギー)
- シェブロン(エネルギー)
- ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヘルスケア)
- プロクター&ギャンブル(生活必需品)
- コカ・コーラ(生活必需品)
いずれも世界的にブランド力が高く、長期的に安定した収益をあげる企業ばかりです。こうした銘柄に自動的に分散投資できる点はHDVの大きな魅力です。
HDVのメリット
高配当を安定して受け取れる
定期的に配当金が支払われるため、キャッシュフローを重視する投資家に向いています。特に年4回の分配金は生活費の補填や再投資に活用できます。
不況に強いディフェンシブ銘柄が多い
生活必需品やヘルスケアは不況でも需要が落ちにくく、景気の波に左右されにくいのが特徴。安定した資産形成を目指す人にとって安心材料です。
低コストで長期保有に最適
経費率0.08%という低コストは、複利効果を最大限活かす上で有利です。長期投資でリターンを積み重ねたい人には特に魅力的です。
HDVのデメリット・注意点
セクターの偏りがある
エネルギーやヘルスケアの比率が高く、ハイテク株の比率は低めです。そのためハイテク株の成長恩恵を受けにくい点はデメリットといえます。
配当金には税金がかかる
米国ETFの配当には 米国課税(10%)+日本の課税(20%) がかかります。二重課税控除の手続きを行わなければ税負担が大きくなる点に注意が必要です。
配当利回りは極端に高くない
一部の投資家は「もっと高利回りが欲しい」と感じるかもしれません。しかし、HDVは「持続可能な高配当」に重点を置いているため、極端な高利回りは期待できません。
HDVと他の高配当ETFとの比較
米国高配当ETFにはHDV以外にも有名な商品があります。
- VYM(バンガード・米国高配当株ETF):銘柄数が多く、幅広く分散
- SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株ETF):利回りは高いが景気敏感株が多く、価格変動リスクも大きい
HDVは「高配当+財務健全性重視」のバランス型ETFといえます。安定性を重視するならHDV、幅広い分散ならVYM、高利回りを狙うならSPYDというように目的に応じて使い分けるのがおすすめです。
HDVはどんな人に向いているか?
- 長期的に安定した配当を得たい人
- 不況に強いディフェンシブ銘柄に投資したい人
- 初心者で米国株を分散投資したい人
- 配当金を生活費や再投資に活用したい人
特に「長期的に資産を育てたいけど、極端な値動きは避けたい」という人にはHDVが最適です。
HDVを活用した投資戦略
配当金を再投資する
受け取った配当を再投資すれば、複利の効果で資産が大きく成長します。
ポートフォリオの一部として組み込む
HDVだけでなく、VYMやVOO(S&P500連動ETF)などと組み合わせることで、成長性と安定性のバランスを取ることができます。
為替も考慮して投資する
ドル建て資産なので為替リスクがありますが、長期で見れば資産の分散につながります。円安局面では資産価値が増えるメリットもあります。

まとめ
HDVは、安定した配当と財務健全な銘柄への投資を両立した米国高配当ETFです。
- 安定した3〜4%の配当利回り
- 財務健全性を重視した銘柄選定
- 景気に強いセクターへの分散
- 経費率0.08%という低コスト
一方でセクターの偏りや配当への課税など注意点もありますが、長期投資で安定したキャッシュフローを得たい人には非常に魅力的な商品です。
杉山も所有ETFの大半がHDVとSPYDです。もしどれに投資するか迷ったなら、資産形成の柱としてHDVを組み込み、安定と安心を両立した投資を始めてみてはいかがでしょうか。