「お金が雪だるま式に増える」と表現されることがある複利。
投資や貯蓄を考えるとき、この概念を理解しているかどうかで、将来の資産額は大きく変わります。
しかし、複利という言葉は聞いたことがあっても、
- どんな仕組みなのか
- どれくらいお金が増えるのか
- 注意点は何か
を具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか?
この記事では、複利の基本的な仕組み・単利との違い・具体例・注意点を、初心者にも分かりやすく解説します。

1. 複利とは?
1-1. 複利の定義
複利とは、元本だけでなく、元本から得られた利息にも利息がつく仕組みのことです。
つまり、「利息が利息を生む」状態を指します。
例えば100万円を年利5%で運用した場合:
- 1年後:100万円 × 5% = 5万円 → 元本+利息で105万円
- 2年目は、この105万円に5%の利息がつく → 5万2500円
このように、前年までの利息を含めた合計額に対して利息が計算されるのが複利です。
1-2. 単利との違い
単利は、元本に対してのみ利息がつく仕組みです。
同じ条件(元本100万円・年利5%・10年間運用)で比較すると:
- 単利:毎年5万円 → 10年後は 100万円+50万円=150万円
- 複利:利息が利息を生む → 約162万円(※複利効果で12万円多い)
長期間になるほど、この差はどんどん広がります。
2. 複利が「雪だるま式」と言われる理由
複利は、運用期間が長いほど効果が大きくなります。
これは「指数関数的に増える」ためで、短期間ではあまり変化がなくても、10年、20年、30年と続けると急激に増加するのです。
有名な例として、アインシュタインの言葉があります。
複利は人類最大の発明であり、宇宙で最も強力な力である。
これは複利の威力を表現する比喩であり、資産形成においていかに重要かがわかります。
3. 複利効果を実感できる具体例
3-1. 100万円を20年間運用した場合(年利5%)
- 単利:100万円+5万円×20年=200万円
- 複利:約265万円
→ 65万円の差が生まれる
3-2. 毎月3万円を積み立てた場合(年利5%・30年)
- 積立元本:3万円 × 12ヶ月 × 30年 = 1080万円
- 複利運用後:約2500万円(運用益1400万円)
→ 積立投資では複利の威力がさらに増す

4. 複利を最大限活かすポイント
4-1. 早く始める
- 複利は「時間」が最大の味方
- 20代から始めれば、少額でも大きな資産を築ける
4-2. 運用益を再投資する
- 利息や配当金を使わずに再投資することで複利効果が加速
- 途中で引き出すと複利の力が弱まる
4-3. コツコツ積立投資を続ける
- 毎月の積立で時間分散でき、価格変動リスクも軽減
- 生活費に支障がない範囲で長期継続が理想
4-4. 低コストの商品を選ぶ
- 投資信託などでは信託報酬(手数料)が低い商品を選ぶ
- 高コスト商品は複利効果を削ぐ
5. 複利を活かす代表的な投資方法
5-1. 投資信託(インデックスファンド)
- 株式や債券に分散投資でき、長期積立と相性が良い
- 新NISAやiDeCoと組み合わせると非課税メリットも享受可能
5-2. 高配当株+再投資
- 受け取った配当を再投資することで複利が効く
- 配当金を使ってしまうと複利の効果は薄れる
5-3. 債券・定期預金
- 金利が低い日本では複利効果は限定的
- ただし元本保証が欲しい人には有効
6. 複利の注意点
6-1. 損失も複利で膨らむ可能性
- 運用がマイナスの場合、損失も積み重なる
- 長期投資でもリスク管理は必須
6-2. 元本保証ではない
- 株式や投資信託では元本割れの可能性あり
- 安全資産とリスク資産のバランスを取ることが重要
6-3. インフレの影響
- 長期投資では物価上昇も考慮する必要あり
- 実質的な購買力で資産を評価する視点が大切

7. 複利の力を活かすための心構え
- 短期の値動きに振り回されない
- 途中でやめず、長期でコツコツ続ける
- 生活防衛資金を確保し、余裕資金で投資する
まとめ
複利は、元本と利息の両方に利息がつく仕組みで、長期投資の最大の武器です。
- 早く始める
- 再投資する
- 長期で続ける
- 低コストの商品を選ぶ
この4つを意識するだけで、将来の資産形成に大きな差が生まれます。
投資初心者の方は、まずは少額から複利を体感し、コツコツと資産形成を始めてみましょう。