1. はじめに
2024年から2025年にかけて、円相場は1ドル=150円を超える水準まで下落し、「歴史的な円安」と言われる局面が続いています。
円安になると、海外資産への投資を行う際に「今は円高になるまで待った方がいいのでは?」という不安を抱く人が増えます。
特に、米国株や全世界株のインデックスファンドを積み立てている投資家にとって、為替レートの影響は無視できません。
しかし、結論から言うと円安だからといって積み立て投資を止めるべきではありません。
本記事では、円安時代においても積み立て投資を続けるべき理由を、初心者にもわかりやすく解説し、具体的な投資戦略や注意点まで掘り下げます。

2. 円安が投資に与える影響
2-1. 為替レートと資産価値の関係
海外資産(例:米国株)を円で投資する場合、円安になると円換算の資産価値が上昇し、円高になると下落します。
- 例:1ドル=100円で買った米国株100ドル → 1万円
- 円安(1ドル=150円)になると → 1万5,000円
- 円高(1ドル=80円)になると → 8,000円
円安時には評価額が上がりますが、新規購入時には「高く感じる」という心理的抵抗が生じやすいのです。
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2-2. 円安局面での投資の難しさ
- 「円安だから今は買い時ではない」と思って待つ
- 円高になるタイミングを予想するのは困難
- 結果的に投資タイミングを逃し、長期リターンを損なうことも
3. なぜ積み立て投資を止めるべきではないのか?
3-1. 為替予想は不可能
為替相場は経済指標や金利政策、地政学リスクなど多くの要因で動きます。
プロの投資家でさえ長期的な為替予測は困難です。
- 日銀の金融政策
- 米国の利上げ・利下げ
- 世界的な景気動向・資本移動
これらを完璧に予測して投資タイミングを合わせるのはほぼ不可能です。
3-2. 長期視点では為替影響は相殺されやすい
20〜30年単位で見ると、円高・円安のサイクルが繰り返される傾向があります。
積み立て投資を続ければ、円高局面・円安局面の両方で購入することになり、平均取得単価が平準化されます。
3-3. 株価成長が為替影響を上回る可能性
米国株や全世界株は、長期的には企業成長による株価上昇が期待できます。
為替の変動が資産価値に与える影響は一時的であり、長期的な成長の果実を享受するためには投資を継続することが重要です。
3-4. 機会損失のリスク
積み立てを停止して円高を待ったものの、円高が来ないまま株価だけ上がる可能性もあります。
その間の投資機会を逃すと、複利の効果も失われてしまいます。

4. 円安時代の積み立て投資の工夫
4-1. 円建てインデックスファンドを活用
- 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「S&P500」など
- 為替ヘッジなし商品を選ぶことで、円安による円換算利益も取り込める
4-2. 為替ヘッジ付き商品を部分的に活用
- 為替変動リスクを抑えたい場合は、為替ヘッジありの商品を一部組み合わせる
- ただし、ヘッジコストがかかるため長期では割高になる可能性もある
4-3. 生活防衛資金を確保した上で継続投資
- 緊急時に備えて生活費半年〜1年分を現金で保有
- 投資資金と生活資金を明確に分け、為替変動に左右されず続けられる仕組みを作る
4-4. ドルコスト平均法の徹底
- 毎月一定額を積み立てることで、高値掴みのリスクを軽減
- 為替変動のタイミングを気にせず、自動で買い続ける
4-5. 投資先の分散
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5. メンタル面の対策
5-1. 短期の為替ニュースに振り回されない
円安・円高のニュースは毎日のように流れますが、長期投資家にとって重要なのは20〜30年後の資産価値です。
5-2. 投資目的を明確にする
- 老後資金形成、教育資金、FIREなど目的を明確化
- 目標から逆算して積み立てを継続することが重要
5-3. リバランスでリスクを管理
- 為替や株価変動で資産配分が崩れたら、年1回程度リバランス
- ルール化することで感情に左右されにくくなる

6. まとめ
円安局面では「投資を続けるべきか迷う」という心理が働きますが、為替予測は困難であり、長期的には株価成長が為替変動の影響を上回る可能性が高いため、積み立て投資は継続することが賢明です。
- 円安・円高を気にせず、定額積み立てを続ける
- ドルコスト平均法で長期的にリスクを平準化
- 生活防衛資金を確保し、無理なく投資を継続
- 全世界株や米国株インデックスで成長の果実を享受する
円安時代においても、積み立て投資の最大の武器は「時間」と「継続」です。
為替の一時的な動きに惑わされず、長期目線で資産形成を進めましょう。
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