1. ドルコスト平均法とは?
1-1. 基本の仕組み
ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)とは、株式や投資信託などを一定額ずつ、定期的に購入する投資手法です。
たとえば、毎月1万円ずつ同じ投資信託を買う場合、価格が高い月は少しだけ、価格が安い月は多く購入することになります。
その結果、購入単価が平均化されるのが特徴です。
1-2. 名前の由来
米国で広まった投資手法で、当時の通貨単位「ドル」にちなみ「ドルコスト」と呼ばれます。日本円でも同じ仕組みです。
2. ドルコスト平均法が注目される理由
- 少額から始められる
- 投資タイミングを分散できる
- 相場の上げ下げを気にせず投資を継続できる
- 長期投資に適しており、初心者でも始めやすい
特に、積立NISAやiDeCoなどの長期非課税制度と相性が良く、多くの投資家が利用しています。

3. ドルコスト平均法の仕組みを具体例で解説
3-1. 一括投資との違い
例として、ある投資信託の価格が毎月変動する場合を考えます。
条件
- 毎月1万円ずつ積立
- 6か月間投資
- 基準価格の推移:100円 → 80円 → 120円 → 90円 → 110円 → 100円
毎月購入口数
- 1か月目:10,000円 ÷ 100円 = 100口
- 2か月目:10,000円 ÷ 80円 = 125口
- 3か月目:10,000円 ÷ 120円 = 83口
- 4か月目:10,000円 ÷ 90円 = 111口
- 5か月目:10,000円 ÷ 110円 = 91口
- 6か月目:10,000円 ÷ 100円 = 100口
合計購入口数:610口
平均購入単価:6万円 ÷ 610口 ≈ 98.36円
ポイント
価格が高い時は少なく、安い時は多く買うことで、平均購入単価を自動的に下げられるのがドルコスト平均法の特徴です。
4. ドルコスト平均法のメリット
4-1. タイミングを気にせず始められる
一括投資は「いつ買うか?」の判断が難しく、初心者ほど心理的ハードルが高いです。
ドルコスト平均法なら、毎月自動で投資するため、相場タイミングを気にせず継続できます。

4-2. 平均購入単価を下げられる
価格が下がった時に多く買えるため、長期的には平均単価を抑えられます。
相場変動を味方にする投資法ともいえます。
4-3. 少額からコツコツ始められる
毎月1,000円〜可能な投資信託もあり、初心者が無理なく資産形成を始められます。
4-4. 長期投資と相性が良い
積立NISAやiDeCoのように20年以上の運用期間がある制度と組み合わせると、複利効果が最大化されます。
5. ドルコスト平均法のデメリット
5-1. 相場が右肩上がりの場合は不利になる
価格が常に上昇している場合、一括投資の方が利益が大きくなることがあります。
5-2. 短期では効果が出にくい
ドルコスト平均法は時間を味方にする投資なので、数年以内の短期運用では効果が薄いです。
5-3. 感情に流されにくいが油断も禁物
自動積立で心理的負担は減りますが、投資先の選定ミスやリスク許容度を超える設定をすると失敗する可能性もあります。
6. ドルコスト平均法を成功させるコツ
6-1. 長期目線で継続する
10年、20年単位で投資することで複利の効果が発揮されます。
6-2. 無理のない金額設定
収入の範囲で生活に支障のない金額を設定することが継続の秘訣です。
6-3. インデックスファンドとの相性が良い
S&P500や全世界株式などの長期的成長が期待できる指数連動ファンドがおすすめです。
6-4. 非課税制度を活用する
- 新NISA:年間360万円まで投資可能
- iDeCo:掛金が全額所得控除&運用益非課税
これらを活用すると、複利効果+税制優遇で資産成長が加速します。
7. 一括投資とドルコスト平均法、どちらが良い?
7-1. 一括投資が向いている人
- まとまった資金がある
- リスクを取れる
- 相場が割安と判断できる
7-2. ドルコスト平均法が向いている人
- 投資初心者
- 少額から始めたい
- 相場のタイミングを図る自信がない
- 長期でコツコツ資産を増やしたい
7-3. 両方を組み合わせる方法も
一部を一括で投資し、残りを積立で購入する「ハイブリッド戦略」も有効です。
8. ドルコスト平均法の実践ステップ
- 証券口座を開設(楽天証券・SBI証券・マネックス証券など)
- インデックスファンドを選ぶ(eMAXIS Slim S&P500、全世界株式など)
- 積立金額を設定(月1万円〜でもOK)
- 自動積立設定(クレカ積立でポイント還元も活用)
- 長期で継続&放置(定期的に資産状況を確認)

9. まとめ
ドルコスト平均法は、初心者が長期で資産形成するための王道手法です。
- 相場のタイミングを気にせず投資できる
- 少額から始められ、平均購入単価を下げやすい
- 長期投資と複利効果で資産が成長する
一方で、相場が右肩上がりの局面では一括投資が有利な場合もあります。
重要なのは、自分のリスク許容度・投資期間に合わせた方法を選ぶことです。
積立NISAやiDeCoと組み合わせて、早めに・コツコツ・長期で続けることで、将来の資産形成が大きく前進します。
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