1. はじめに
投資を始めると、「どの株を買えばいいか」「どの投資信託が一番儲かるか」という銘柄選びに注目しがちです。
しかし、長期的な資産形成においては、どの資産にどれだけ配分するか=アセットアロケーションが最も重要な要素であることが多くの研究で示されています。
米国の有名な研究(Brinsonら)では、投資成果の約90%は資産配分で決まるとされ、個別銘柄選びや売買タイミングよりもはるかに大きな影響を与えることがわかっています。
この記事では、アセットアロケーションの基礎から、なぜ重要なのか、実践方法や注意点まで詳しく解説します。

2. アセットアロケーションとは?
2-1. 定義
アセットアロケーション(Asset Allocation)とは、株式・債券・不動産・現金などの異なる資産クラスに資産をどのような割合で配分するかを決めることです。
例えば、
- 株式50%
- 債券30%
- 不動産10%
- 現金10%
といった割合を決め、ポートフォリオ全体のリスクとリターンをコントロールします。
2-2. 資産クラスの例
- 株式:国内株、米国株、全世界株など
- 債券:国内債券、米国債、社債
- 不動産:REIT(不動産投資信託)
- コモディティ:金、原油など
- 現金・預金
↓国内株式についてはこちら
3. なぜアセットアロケーションが重要なのか?
3-1. リスク管理の基本
資産ごとに値動きの特徴やリスク要因が異なります。
例えば、株式は成長性が高い反面、価格変動が大きい。債券は安定性が高いがリターンは低め。
複数の資産を組み合わせることで、リスクを抑えながら安定したリターンを目指せます。
3-2. 投資成果の大部分を決定
多くの研究で、長期投資のリターンは資産配分が最も影響する要素とされています。
短期的な株価の上下や個別銘柄の選択は、長期では誤差の範囲になりがちです。
3-3. 感情に左右されない投資を実現
相場の上下に一喜一憂して売買すると、高値掴み・安値売りにつながります。
あらかじめアセットアロケーションを決めておくことで、ルールに基づいた投資が可能になります。
3-4. 為替リスク・地域リスクの分散
海外資産を組み込むことで、日本経済や円相場に依存しない分散投資が可能になります。
特に全世界株や米国株と国内債券を組み合わせることで、通貨と地域の両面でリスクヘッジできます。

4. アセットアロケーションの決め方
4-1. 目的と期間を明確にする
- 老後資金なのか、教育資金なのか
- 5年後に使うのか、30年後に使うのか
投資目的と期間により、取れるリスクの度合いは大きく変わります。
長期ならリスクを取りやすく、短期なら安全資産比率を高めるのが基本です。
4-2. リスク許容度を把握する
- 資産額・収入・家族構成
- 相場下落時にどれだけ耐えられるか
例えば、株価が30%下落しても売らずに耐えられるかどうかをシミュレーションしておくと安心です。
4-3. 基本的な目安例
- 攻め型(リスク許容度高い):株式80%、債券15%、現金5%
- バランス型(標準):株式60%、債券30%、現金10%
- 守り型(低リスク志向):株式40%、債券50%、現金10%
4-4. 国際分散の重要性
5. 維持と見直し(リバランス)
5-1. リバランスとは?
相場の変動により、当初の資産配分が崩れた場合に、元の割合に戻す作業を指します。
例:株式60%・債券40%が、株価上昇で株式70%になった場合、株式を一部売却して債券を買い、60:40に戻す。
5-2. リバランスの効果
- リスクを一定に保つ
- 高値で売り、安値で買う逆張り効果
- 感情に左右されない長期運用が可能
5-3. 実施頻度
- 年1回または半年に1回が目安
- 配分が大きく崩れた場合(±5%以上)に臨時リバランス
6. 実践例:初心者向けモデルポートフォリオ
6-1. 全世界株+国内債券のシンプル戦略
- 全世界株インデックス 70%
- 国内債券インデックス 30%
長期成長を狙いながら、国内債券で安定性を確保。
6-2. 米国株+全世界株+現金のバランス戦略
- 米国株インデックス 50%
- 全世界株インデックス 30%
- 現金 20%
米国の成長力を活かしつつ、現金でリスク緩和。
6-3. ゴールドやREITを加えた多資産戦略
- 株式 60%
- 債券 20%
- REIT 10%
- 金 10%
インフレや災害リスクに備え、資産クラスをさらに分散。
7. アセットアロケーションを守るコツ
7-1. 自動積立で淡々と運用
- 毎月一定額を投資することで、市場の上下に左右されない
- ドルコスト平均法と組み合わせると効果的
↓ドルコスト平均法についてはこちら
7-2. 投資目的を定期的に見直す
- ライフステージの変化(結婚・子育て・退職)に応じて配分を調整
- 資産額が増えるとリスク許容度も変化するため再設定が必要
7-3. ニュースに一喜一憂しない
短期の市場変動よりも、10年後・20年後の資産形成目標を重視することが大切です。

8. まとめ
アセットアロケーションは、投資成果の大部分を決める最重要要素です。
- 株・債券・現金など複数の資産を組み合わせ、リスクとリターンを最適化
- 投資目的・期間・リスク許容度に応じて配分を決定
- 定期的なリバランスで長期的な安定運用を実現
銘柄選びや相場予想に振り回されず、まずは資産配分を固めることが、長期的な資産形成の第一歩となります。
杉山はインデックス投資についてはオルカンとS&P500を2:1の割合で投資しています。恐らく現状ではベスト(納得できる)アセットアロケーションだと考えています。
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