事業概要:学究社とは
学究社は、進学塾「ena」などの教育事業を手掛ける企業です。
学習塾運営や教育関連サービスを軸に、受験指導やテスト運営、映像教材提供なども展開しています。
地域密着型の教育サービスを強みに、受験ニーズが高い都市部を中心に展開しています。
教育事業は少子化・競争激化などの構造課題も抱えていますが、景気の影響を受けにくい側面もあります。

株価と市場での位置づけ
株価は概ね 2,300円前後 あたりで推移しています。
時価総額規模で見ると、教育業界の中では中堅~中型クラスに属します。
株価の変動要因としては、合格実績・入塾数変動・教育政策の変化などが挙げられます。
また、教育事業への投資や教材開発、プロモーション費用が業績に影響を与えやすい点も留意が必要です。
比較的安定業界とはいえ、競合との競争や社会トレンドへの対応力が株価に反映されやすい銘柄です。
PER(株価収益率)の水準
学究社の予想PERは、おおよそ 12.6倍 程度とされています。
この水準は教育業界の水準として中間~やや割高な評価という見方もあります。
PERがこの水準であるということは、投資家に一定の成長期待が織り込まれている可能性があるとも言えます。
ただし、PERは業績予想が変化すれば大きく変動する指標であるため、過去実績との比較も重要です。

PBR(株価純資産倍率)の動向
学究社の実績PBR(純資産倍率)は約 3.7~3.8倍 と高めの評価が付けられています。
PBRが高いということは、純資産以上の価値が市場で認められているという見方ができます。
教育企業の場合、ブランド力や将来収益性がプレミアムとなりやすいため、このような評価も理解可能です。
ただし資産超過額がないとき、PBRが高すぎるとバブル視されるリスクもあります。
純資産の中身、無形資産の価値、収益性の見通しなどをチェックする必要があるでしょう。
配当政策と株主還元
学究社の今期予想配当は 1株あたり103円 です。
この予想から配当利回りは株価水準から見て 4.3~4.5%前後 と高水準です。
過去の配当実績としては、2025年3月期に 90円、2024年3月期に 87円などが記録されています。
配当性向は約 52.5% と、利益の半分程度を株主に還元する水準です。
さらに株主優待制度を再開することが発表され、3月末保有株主に QUOカード 1,000円分を付与予定という動きもあります。
配当+優待を含めた総還元を重視する投資家にとって魅力が増していますね。

財務健全性と収益性指標
学究社は自己資本比率を比較的高めに保っており、財務安定性は健全と評価される傾向があります。
ROE(自己資本利益率)は 26.94% という高い数字が報じられており、資本効率が良好と見られています。
また、ROA(総資産利益率)も 16.15% 程度と高水準で、資産を効率よく活用している企業という印象を与えます。
ただし教育事業は人的コストや教材開発費用、広告費用などが収益を左右しやすいため、コスト管理が業績持続性を左右します。
景気変動の影響は比較的受けにくいものの、社会環境変化への対応力も見られます。
成長戦略と将来展望
学究社は、塾事業を核としつつ、映像教材提供、オンライン教育、地方展開などへの拡張を図っています。
少子化傾向を前提としながら、新たな教育需要(プログラミング、英語教育、予備校以外の学び直し市場など)を取り込む戦略が見られます。
さらに株主優待の再開によって中長期保有を促し、株主基盤の拡大を目指す姿勢も確認されます。
海外展開はまだ限定的なようですが、将来的な拡張余地も持ち得る事業フェーズといえます。
市場評価を高めるには、実績を伴った成長と収益力の維持が不可欠です。

株価推移と投資家視点
学究社の株価は比較的安定した上昇傾向を示す局面もありますが、前述のような指標が評価の重しとなることもあります。
投資家からは「高配当+優待を活かす中長期保有目的」の銘柄として注目されることが多いです。
また、収益性指標の高さや資本効率性の良さから、バリュー型投資家からの関心も得ています。
ただし期待が先行しすぎると、業績未達時に株価が急落するリスクも存在します。
そのため投資にあたっては、業績動向、教育市場の変化、コスト構造、政策・規制の変化を注視することが重要です。
まとめ
学究社(9769)は、学習塾運営を軸に、受験指導やテスト運営等の事業を展開する教育関連サービスです。
PER 約12.6倍、PBR 約3.7倍、予想配当利回り 4.3~4.5%、配当性向約52.5%です。
自己資本比率やROEも高く、収益性と財務健全性の両立が見られます。
さらに、株主優待再開を通じた株主還元の強化も注目ポイントです。
教育事業という安定的な事業基盤を持つ一方で、少子化や競争激化という構造課題も抱えており、それらをどう克服できるかが今後の鍵となります。
投資家にとっては、「高配当+成長可能性+還元強化」を兼ね備えた銘柄として、ポートフォリオの一角に加える価値を持つといえるでしょう。






