企業概要
未来工業株式会社は、岐阜県安八郡輪之内町に本社を構える電気設備資材メーカーです。
主力製品は、配線器具、電線管、電設資材などです。
これらの製品は住宅や商業施設、工場の建設に不可欠であり、業界内で高いシェアを誇ります。
また、未来工業は独自の生産技術と物流システムを持ち、品質管理に優れています。
国内市場だけでなく、海外市場への展開も進めています。
とくにアジア諸国では需要が拡大しており、同社の成長の重要なドライバーとなっています。

最新業績指標(2025年3月期)
売上高
2025年3月期の連結売上高は、約451億円となりました。
前年同期比で約4.8%の増収となり、堅調な業績を示しています。
主力の電材・管材セグメントは増収減益となったものの、配線器具セグメントの増収増益が全体を支えました。
住宅着工件数や工場・商業施設の建設需要が売上増に寄与しました。
また、海外セグメントの売上も増加し、全体の売上の安定に貢献しています。
営業利益
営業利益は約73億円となり、前年同期比で約5.5%の減益となりました。
原材料費の上昇や物流費の増加が影響しました。
しかし、コスト削減策や生産性向上の取り組みが功を奏し、利益水準は一定に維持されました。
営業利益率は16%前後で推移しており、業界内でも比較的安定しています。
利益率の維持は、同社の競争力を示す重要な指標です。
経常利益
経常利益は約58億円となり、前年同期比で約9.1%の減益となりました。
為替変動や金融市場の影響が利益に影響しました。
特に輸入材料のコスト上昇や海外売上の為替差損が経常利益に影響を与えています。
それでも、安定した収益基盤があるため、短期的な変動の影響は限定的です。
当期純利益
当期純利益は約27億円となり、前年同期比で約11.1%の減益となりました。
減益の主な要因は、投資不動産の評価損や減損処理によるものです。
一方、営業活動による利益創出は堅調で、長期的には安定成長が見込めます。
純利益は投資家の配当や企業再投資に影響する重要な指標です。
株価指標
PER(株価収益率)
PERは株価が一株当たり利益(EPS)の何倍で取引されているかを示す指標です。
未来工業のPERは約15.1倍です。
業界平均の約18倍と比較すると若干の割安感があります。
これは、株価が利益に対して過度に高く評価されていないことを示しています。
PERは投資判断の参考になる指標であり、長期投資家にとって重要です。
PBR(株価純資産倍率)
PBRは株価と一株当たり純資産の比率を表す指標です。
未来工業のPBRは約1.1倍です。
資産価値に対して適正な評価がなされていることを示します。
過度に高くもなく、割安でもないバランスの良い水準です。
PBRは企業の財務健全性や株価の安全性を確認する際に重要な指標です。

財務健全性
総資産
総資産は約665億円で、前期末から約45億円増加しました。
売掛金の増加や投資不動産の増加が主な要因です。
総資産の増加は、事業規模の拡大や設備投資の進展を示します。
自己資本
自己資本は約526億円で、前期末から約31億円増加しました。
利益剰余金の積み上げが主な要因です。
自己資本の増加は、財務基盤の強化や将来的な投資余力の向上につながります。
自己資本比率
自己資本比率は約79.2%で、前期末から0.4ポイントの減少です。
総資産の増加に伴う軽微な減少ですが、依然として高水準です。
高い自己資本比率は財務の安定性を示し、外部環境の変動に強い体質を表します。
有利子負債
有利子負債は約4億円で、前期末より約1億円減少しました。
借入依存度が低く、財務の健全性は非常に高い水準です。
リスク管理の面でも、投資家に安心感を与える要素となります。

配当利回りと配当性向
配当利回り
2025年3月期の配当利回りは約3.78%です。
安定した配当を継続しており、株主還元を重視する姿勢がうかがえます。
配当性向
配当性向は約50.1%です。
利益の半分以上を株主に還元する形となり、安定配当株として魅力があります。
投資家にとって、配当利回りと配当性向は長期保有の安心材料となります。
今後の注意点
未来工業は安定した業績と高い財務健全性を誇ります。
しかし、注意すべき点も存在します。
- 原材料費の上昇:世界的な資源価格の変動がコストに影響する可能性があります。
- 為替リスク:海外展開を進める中で、為替変動が収益に影響する可能性があります。
- 競争環境の変化:国内外の競争激化により、差別化戦略の強化が求められます。
- 景気変動の影響:建設需要の変動や住宅市場の縮小が業績に影響する可能性があります。
これらのリスクに対して、適切なリスク管理と戦略の見直しが必要です。

まとめ
未来工業(7931)は、安定した収益基盤と高い財務健全性を誇る企業です。
PERやPBRの水準は適正で、長期投資に魅力があります。
配当利回りも高く、株主還元を重視。
一方、原材料費、為替、競争環境、景気変動のリスクには注意が必要です。
今後も安定成長を続けるためには、国内外の市場動向を注視することが重要です。
投資家は指標を確認し、長期視点での投資判断を行うことが求められます。