はじめに
高配当株投資は安定した配当収入を得ながら資産形成できる人気の投資手法です。特に日本では「株主還元強化」の流れもあり、配当金を目当てに長期保有する個人投資家が増えています。
しかし高配当株だからといって必ず永遠に持ち続けるべきとは限りません。時には売却を検討する必要もあります。
この記事では、高配当株を売却する判断基準やタイミング、注意点について、初心者向けにわかりやすく解説します。さらに、売却を検討すべき具体的なケースや、税制面・資産配分の観点からも説明していきます。

高配当株投資の魅力と落とし穴
高配当株投資のメリット
- 安定したインカムゲイン(配当収入)
銀行預金の金利が低い中、年3〜5%の配当利回りは非常に魅力的。 - 長期保有で資産形成がしやすい
再投資を続けることで、複利効果が働く。 - 株価下落局面でも一定の安心感
配当金が支えとなり、精神的に落ち着いて投資を続けやすい。
高配当株投資のデメリット
- 減配リスクがある
企業業績が悪化すれば、配当金が減額される可能性がある。 - 成長性の低さ
高配当株は成熟企業が多く、株価の値上がり益が期待しにくい。 - 税金の負担
配当金には20.315%の税金がかかり、効率面で劣る場合がある。
つまり「持ち続ければ安泰」というわけではなく、状況によっては売却が必要です。
高配当株を売却すべきタイミング
1. 減配・無配の発表があった時
高配当株の魅力は安定した配当です。もし企業が減配や無配を発表した場合、その株を持ち続ける理由は大きく揺らぎます。
- 例:業績悪化による減配
- 例:一時的な特損で無配
このような場合は、株価が大きく下がる前に売却を検討することが重要です。
2. 配当利回りが異常に高すぎる時
一見魅力的に見える高利回りも、「株価の大幅下落によって利回りが高く見えるだけ」というケースがあります。
- 配当利回り5% → 安定していれば魅力的
- 配当利回り10%以上 → 要注意(業績悪化や株価暴落のシグナルかも)
異常な高利回りは「配当維持が困難である可能性の警告」と考えるべきです。
3. 企業の成長性が失われた時
成熟企業であっても、安定した業績があってこそ配当は維持されます。
- 業界全体の衰退
- 新しい技術に対応できない
- 競合にシェアを奪われ続けている
こうした場合は、「持ち続けても資産が減るだけ」になる可能性があります。

4. 株価が大幅に割高になった時
高配当株でも、株価が上がりすぎて利回りが低下してしまうことがあります。
- 例:購入時は配当利回り4% → 株価上昇で2%まで低下
このような場合は「配当目当てとしての魅力が薄れた」と判断できます。
5. ポートフォリオのバランスが崩れた時
高配当株を買いすぎて、特定の銘柄やセクターに偏りすぎるのはリスクです。
- 銀行株に集中
- 電力株ばかり保有
この場合はリスク分散のために一部を売却し、他の資産に振り分けるのが賢明です。
6. 税制やライフプランの変化があった時
- 退職して収入が減る → 配当金にかかる税金が負担になる
- NISA口座の非課税枠が使えない → 課税口座での効率が悪化
ライフプランに応じて「売却して別の投資に回す」判断も必要です。
シミュレーションで考える「売却すべきかどうか」
ケース1:減配が発表された時
A社株を100万円分保有(配当利回り5%、年5万円配当)。
→ 減配により利回りが2%に低下。
→ 受け取れる配当金は2万円に減少。
この時、同じ100万円を利回り4%の銘柄に乗り換えれば年間4万円に戻せます。
つまり早めの売却と乗り換えでより大きな収益を確保できるのです。
ケース2:株価上昇で利回り低下
購入時:株価1000円、配当50円 → 利回り5%
株価上昇:株価2000円、配当50円 → 利回り2.5%
株価上昇で利回りは半減。売却すれば値上がり益を確定でき、より高利回りの銘柄に再投資可能です。
ケース3:ポートフォリオの偏り
- 高配当株A社:資産の40%
- 他の銘柄:60%
A社の業績悪化や減配リスクが出た場合、資産全体に与えるダメージは大きいです。
→ 一部売却してバランスを取ることで、リスクを軽減できます。
高配当株売却の注意点
- 配当権利確定日の前に売ると配当がもらえない
売却時期によっては、直近の配当を受け取れない可能性があります。 - 譲渡益に税金がかかる
売却益には20.315%の税金がかかります。特定口座で損益通算できるか確認しましょう。 - 感情で判断しない
株価下落に焦って売ると、安値で手放すことになりかねません。必ず「売却基準」を持って判断しましょう。

まとめ
高配当株は魅力的な投資手法ですが「配当が出るから永久保有」とは限りません。
売却を検討すべきタイミングは以下の通りです。
- 減配・無配の発表があった時
- 異常に高い配当利回りになった時
- 成長性が失われた時
- 株価が割高になった時
- ポートフォリオのバランスが崩れた時
- 税制やライフプランが変化した時
投資は「買うタイミング」よりも「売るタイミング」が難しいと言われます。
しかし冷静な判断基準を持っておけば、大きな損失を避け、効率的に資産形成を続けることができます。