米国株は割高?ヴァンガードが示すリスクと資産配分戦略を解説

投資信託

はじめに

近年、米国株式市場は強気相場が続いており、S&P500を中心に大きな上昇を遂げてきました。しかし、この上昇相場に対して「割高ではないか?」という警鐘を鳴らす声が高まっています。その代表格が、世界有数の資産運用会社であるヴァンガード社です。

ヴァンガードのチーフインベストメントオフィサーであるグレッグ・デイビス氏は、米国株式が過大評価されているとの見解を示し、今後10年間のリターンが過去の水準を大きく下回る可能性を指摘しています。

この記事では米国株の割高感、将来のリターン見通し、ヴァンガードが提案する資産配分の戦略、そして投資家が取るべき行動について初心者の方にも分かりやすく解説していきます。


米国株の割高感と将来のリターン低下リスク

過去のリターンと今後の予測

過去10年間、S&P500は年平均12%を超える驚異的なリターンを投資家にもたらしてきました。特にテクノロジー株の成長や低金利政策が相場を支えてきたことが背景にあります。

しかしヴァンガードの試算によれば、今後10年間のS&P500の予測リターンは 年率3.8〜5.8%程度にとどまるとされています。これは過去10年の半分以下の水準であり、投資家がこれまでと同じ期待を持ち続けるのは危険だと言えるでしょう。

割高を示すバリュエーション指標

米国株の割高感を示す代表的な指標が株価収益率(P/E)とCAPE(シラーPER)です。

  • P/E(株価収益率):29.3倍
    歴史的に見ても高い数値であり、収益に対して株価が過大に評価されていることを示しています。
  • CAPE(シラーPER):歴史的平均より約49%高い水準
    長期的な利益の推移を考慮しても、現在の米国株は「バブル的な評価」と言えるほどの高さです。

これらの指標からも、今後の収益成長が鈍化すれば株価調整が起こるリスクがあることは明らかです。


ヴァンガードが提唱する資産配分の見直し

従来の「60:40」モデルの限界

長らく、資産運用の基本モデルとして「60%株式/40%債券」というバランスが推奨されてきました。株式の成長力と債券の安定性を組み合わせることで、リスクとリターンを最適化するという考え方です。

しかし米国株の割高感が強まり、リターンの低下が予測される現在において、この伝統的なモデルだけでは投資家を十分に守れない可能性があるとヴァンガードは指摘しています。

新しい提案「60%債券/20%米国株式/20%国際株式」

ヴァンガードが示す新たな戦略は以下のようなものです。

  • 60%:債券
    安定した利回りを期待でき、株式市場が下落した際のリスクヘッジになる。
  • 20%:米国株式
    依然として世界経済を牽引する力があるため、完全に外すのではなく一定比率を確保する。
  • 20%:国際株式
    米国以外の地域に分散することで、為替や成長ポテンシャルを取り込み、全体のバランスを取る。

この配分は、株式のリスクを抑えつつ、分散効果を高めることを目的としています。


債券と国際株式のリターン見通し

債券の期待リターン

ヴァンガードは今後10年間の米国債券について、年率4~5%前後のリターンを見込んでいます。インフレ率や金利動向に左右される部分はあるものの、株式のリターン見通しと比較すると魅力的な選択肢となります。

特に、金利が一定水準に達した現在では、債券を保有することで安定したインカムゲインを得られる可能性が高いと考えられます。

国際株式の期待リターン

一方、米国外の株式市場は米国株に比べてバリュエーションが相対的に割安です。そのため今後10年の期待リターンは 年率7%前後 と予測され、米国株より高いリターンを期待できる可能性があります。

欧州や新興国市場は政治・経済リスクを抱えつつも、人口増加や経済成長ポテンシャルを背景に、中長期的には投資妙味があると見られています。


投資家が取るべき戦略とは?

過去の成功体験にとらわれない

過去10年の米国株の高リターンに引きずられて、今後も同じ水準の利益が得られると考えるのは危険です。市場環境は常に変化するため、柔軟な視点を持つことが重要です。

分散投資を徹底する

米国株だけに偏ったポートフォリオは、将来的なリスクを高めます。債券や国際株式を組み合わせることで、下落リスクを抑えつつ安定的な運用が可能になります。

リバランスを定期的に実施

時間の経過とともに、株式や債券の比率は変動します。年に1回程度のリバランスを行い、目標とする資産配分を維持することが大切です。

長期投資の視点を忘れない

短期的な相場変動に振り回されず、10年・20年といった長期目線で資産を育てる姿勢が最も重要です。ヴァンガードの提案も、あくまで「長期投資家にとってのリスクとリターンの最適化」を目的としています。


まとめ:ヴァンガードの警告をどう活かすか

米国株は現在、過去に例を見ないほどの割高水準にあり、今後のリターンは過去10年に比べて大きく低下する可能性があります。そのため投資家は資産配分を見直し、株式一辺倒から脱却する必要があるかも知れません。

ヴァンガードが提案する「60%債券/20%米国株式/20%国際株式」という新たなモデルは、リスクを抑えつつ長期的に資産を増やすための現実的な選択肢と言えるでしょう。

投資において「安全な答え」は存在しませんが、世界的な運用会社が発するメッセージは、今後の資産形成を考えるうえで大きなヒントになります。過去の実績にとらわれず、未来に備えた冷静な判断を下していくことが求められます。

タイトルとURLをコピーしました