会社概要と事業構造
SRAホールディングスは1967年創業、2006年に持株会社体制に移行し、現在はグループ全体を統括する純粋持株会社です。連結子会社13社・非連結子会社5社・関連会社3社で構成され、ITコンサルティング・開発・システム構築・インフラ運用・クラウド・ITサポートなど多角的なサービスを提供しています。
主な事業領域は以下のとおり:
- 開発サービス:金融、組込み(自動車/電子機器)、文教、業務系(公共・流通・化学など)向けシステムの受託開発。
- インフラ構築・運用サービス:ネットワーク、クラウド、データセンターの設計・構築および運用アウトソーシング。
- 製品・ソリューション:内部統制・セキュリティ、開発支援ツール、文教向けソリューション、ヘルスケアソリューションなど。
- 品質・セキュリティ体制:CMMレベル3、ISO9001、ISO27001、プライバシーマーク取得の徹底した品質管理体制。
このような幅広い事業ネットワークと高い品質管理体制が、SRAグループの強みとなっています。

財務・業績動向
最新の業績や株価指標は以下の通りです:
- 最新第1四半期:売上高は前年同期比+21.0%で143.08億円、営業利益は+14.9%の18.48億円と過去最高水準を記録。ただし、為替差損により経常・純利益は減少し、通期業績は据え置き予想。
- 通期業績推移:
- 2025年3月期:売上約516億円、純利益33.8億円
- 2026年3月期(予想):売上535億円、純利益約49.0億円(およそ45%増)
- 株価指標(おおよその値):
- 株価:約4,700円
- 時価総額:約714億円
- PER:約12倍
- PBR:約1.9〜2.3倍
- 配当利回り:約3.8〜3.9%
- ROE:約11.3%
- 自己資本比率:約60%
全体として、高収益・安定性・株主還元の観点で投資魅力が高く、特に中堅IT企業として着実な成長が期待されます。
投資家視点で見る魅力
独立系の強みと多角的サービス
他社に依存しない独立系SIerとして、特定顧客への依存がおさえられており、金融や組込、文教など複数業種に幅広く展開。これは非常に戦略的です。
安定収益+高配当
直近の配当利回りは3.8〜4%と見応えがあり、収益性も維持されています。インカム目的の投資家には魅力的な銘柄です。
財務の健全性と効率性
自己資本比率約60%、ROE約11%はバランスがよく、高収益ながら財務リスクも抑えられています。
成長余地も見込める
AI、クラウド、セキュリティ、オープンソースといった分野に技術基盤を持ち、先端需要を取り込む余地を持つ点も評価されています。

投資リスクと注意点
- 業界競争の激化:大手SIerや海外ベンダー、新興のクラウド系企業との競争が厳しい領域です。
- 為替やプロジェクト依存:為替差損の影響を受けたように、一部収益は為替や大型案件依存のリスクがあります。
- 技術革新のスピード:AIやクラウドの進化に迅速に対応できないと、競争上の不利となります。
- 業績の振れ:一時期の減益見通しや案件の獲得状況により収益が揺れる可能性もあるため、安定性には注意が必要です。

長期投資家へのまとめ
SRAホールディングスは、独立系SIerとして堅実な収益基盤を持ちつつ、先進技術や多業種への展開で将来の成長も見込める銘柄です。配当利回りの高さや財務の安定性から、中長期保有に向いています。
ただし業界競争の動向や案件依存、技術革新への対応力などには注意が必要です。投資ポートフォリオに組み込む際は、他セクターとの分散を意識しつつ、成長性と安定性のバランスを取りましょう。