eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドで、世界中の株式市場にこれ1本で投資できる商品です。
略して「オルカン」と呼ばれ、多くの個人投資家から人気があります。
- 特徴:世界中の株式に分散投資
- 指数:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)
- 通貨ヘッジ:なし(為替リスクあり)
- 投資対象国:先進国+新興国(約50カ国、3000銘柄以上)

なぜ人気があるのか?
- 1本で世界中に分散投資 → リスク分散が簡単
- 信託報酬が超低コスト → 業界最安水準
- 自動リバランス → 国ごとの比率調整が不要
- 長期投資に最適 → 積立NISA・iDeCo対象
投資対象の詳細
MSCI ACWIとは?
MSCI社が算出する世界の株式市場全体をカバーする指数。
- 世界の時価総額の約85%をカバー
- 先進国23カ国+新興国24カ国
- 約3000銘柄に分散投資
地域別比率(2024年時点の目安)
- 米国:約60%
- 日本:約6%
- 欧州:約15%
- 新興国(中国・インド等):約10〜15%
- その他:カナダ・オーストラリアなど
主な組入銘柄(2024年時点)
- アップル
- マイクロソフト
- アルファベット(Google)
- アマゾン
- エヌビディア
- テスラ
- トヨタ自動車
コスト(信託報酬)
信託報酬(運用管理費用)
- 年率:0.05775%(税込)(2024年現在)
→ 100万円投資で年間577円程度
(※別途、隠れコストとして売買手数料などが数円〜数十円発生)
コストが安い理由
「eMAXIS Slim」シリーズは、他社より安くする方針を掲げており、競合がコスト引き下げを行うと追随してさらに安くすることが多い。
為替リスク
オルカンは為替ヘッジなしなので、円高・円安の影響を受けます。
- 円安 → 外国資産の評価額アップ(プラス要因)
- 円高 → 外国資産の評価額ダウン(マイナス要因)
長期では為替変動は平均化されやすいが、短期投資では注意が必要。

メリット
1. 1本で世界に分散投資
- 先進国+新興国すべてカバー
- 投資初心者でも簡単にグローバル分散が実現
2. 超低コスト
- 信託報酬0.05%台は世界的にも最安水準
- 長期投資でコスト差がリターンに直結
3. 自動リバランス
- 国ごとの比率は指数に連動
- 投資家が自分で調整する必要なし
4. 積立NISA・iDeCo対応
- 税制優遇口座で効率的な資産形成が可能
5. 為替・株価の両面で世界経済の成長を享受
- 米国株の成長+円安の恩恵を受けやすい
デメリット・注意点
1. 米国比率が高い
- 世界の時価総額の6割が米国
- 米国依存度が高くなる
- 「米国集中 vs 全世界分散」論争がある
2. 為替リスク
- 円高局面では評価額が下がる
- 為替ヘッジなしのため変動が大きくなることも
3. 新興国リスク
- 政治リスク・経済リスクの高い国も含まれる
- ボラティリティ(変動幅)が大きい

4. 株式100%のリスク
- 債券を含まないため価格変動が大きい
- 安定性より成長性重視の投資商品
他のファンドとの比較
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 米国株だけに投資
- 過去10年は米国株の方が高リターン
- 将来も米国優位が続く保証はない
eMAXIS Slim 先進国株式
- 先進国のみ(米国+欧州+日本)
- 新興国を含まない分、成長性はやや低い可能性
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- 同じく全世界投資だが信託報酬が高め
- コスト面でオルカンが有利
こんな人におすすめ
- 投資初心者
- 1本で世界分散できるため銘柄選び不要
- 長期投資を考えている人
- 20年以上の積立投資に適している
- リバランスが面倒な人
- 自動的に時価総額比率で調整される
- 全世界成長に賭けたい人
- 米国+新興国も含めた幅広い投資が可能
積立投資シミュレーション
前提
- 毎月3万円を20年間積立
- 年利5%で運用
結果(概算)
- 積立総額:720万円
- 運用益:約590万円
- 最終資産:1,310万円
→ 低コスト+世界分散の恩恵で長期資産形成が期待できる。
まとめ
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、世界中の株式に1本で投資できる低コストファンド
- 先進国・新興国を含めた約3000銘柄に分散投資可能
- 信託報酬は0.05%台で超低コスト
- 為替リスク・株式100%のリスクはあるが、長期積立に適している
- 積立NISA・iDeCoの定番商品であり、初心者〜上級者まで幅広く利用
杉山も「どれか一つ金融商品を選ぶなら?」と聞かれれば、オルカンと答えます。迷っても迷わなくてもこれでいいと、安心して信託できるファンドであると言えます。