4%ルールとは?FIREや老後資金計画に役立つ考え方を解説

投資

はじめに

近年「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という考え方が注目を集めています。FIREとは、資産運用などによって経済的に自立し、早期にリタイアして自由な時間を手に入れるライフスタイルのことです。そのFIREの実現において重要な指標となるのが「4%ルール」です。

また、FIREを目指さない人にとっても4%ルールは老後資金の目安として非常に役立ちます。「どのくらい資産を用意すれば安心して暮らせるのか」を具体的に示してくれるからです。

この記事では4%ルールの基本的な考え方から、その根拠、活用方法、そして注意点までを初心者向けにわかりやすく解説していきます。


4%ルールとは?

基本的な考え方

4%ルールとは、資産を取り崩して生活する際に「年間支出を資産の4%に抑えれば、30年以上資産を維持できる」という考え方です。

たとえば生活費が年間300万円必要な場合、
必要な資産額は「300万円 ÷ 0.04 = 7500万円」となります。

つまり7500万円の資産を築ければ、その資産を年4%の割合で取り崩しながら生活しても資産が大きく減らずに老後を乗り切れる、という計算です。

FIREにおける位置づけ

FIREを目指す人は「自分が生活費として必要な金額」をまず計算します。その金額の25倍が、FIRE達成に必要な資産額とされます。
これは「4%ルール」を逆算した数値です。
(例:生活費が年間200万円なら、必要資産は5000万円)


4%ルールの背景と根拠

トリニティ大学の研究

4%ルールの根拠となっているのは、米国トリニティ大学の研究です。株式と債券に分散投資したポートフォリオから毎年一定額を引き出した場合に、30年間資産が枯渇しない確率を調べた結果「4%」であれば高い成功率が得られることが示されました。

株式市場の長期リターン

株式市場は短期的には変動が激しいですが、長期的には平均して年5〜7%程度のリターンが得られるとされています。そこからインフレ率を考慮すると、現実的に取り崩しても良い安全な水準が「4%」と考えられたのです。


4%ルールを使ったシミュレーション

ケース1:年間支出300万円

年間300万円で生活する場合、必要資産は7500万円。
資産を米国株や債券に分散投資しながら年4%(300万円)を取り崩していけば、30年以上生活可能と考えられます。

ケース2:年間支出200万円

地方で質素に暮らす場合、生活費を200万円に抑えることも可能です。
この場合、必要資産は5000万円となり、FIRE達成のハードルは下がります。

ケース3:年間支出500万円

一方で、生活水準を高めたい人が年間500万円必要なら、必要資産は1億2500万円となります。目標金額は大きくなりますが、その分リタイア後の生活も豊かになります。


FIREと老後資金の違い

FIREの場合

FIREは一般的に40代や50代といった早い時期にリタイアを目指します。そのため資産を運用しながら何十年も生活していく必要があります。つまり、資産を「増やしながら取り崩す」ことが重要になります。

老後資金の場合

一方で老後資金の取り崩しは、主に65歳以降からスタートします。年金収入と組み合わせて使うため、FIREほど大きな資産が必要ないケースもあります。年金が生活費の一部を賄うため、不足分を資産から取り崩すイメージです。


4%ルールのメリット

明確な目標設定ができる

「生活費の25倍」というシンプルな計算式で目標資産を設定できるため、計画が立てやすいのがメリットです。

長期運用に基づいた安心感

長期的な市場データに基づいているため、一定の信頼性があります。「資産が尽きない」という安心感は心理的にも大きな支えになります。

ライフプランに応用できる

FIREを目指す人だけでなく、老後の生活設計を立てる際の参考にもなります。自分の生活費を基準に「必要資産額」をイメージしやすくなります。


4%ルールの注意点と限界

インフレリスク

物価が上がれば、生活費も増加します。特に日本は長期的にデフレ傾向でしたが、近年はインフレが進んでおり、過去のデータに基づく4%ルールがそのまま通用するとは限りません。

投資環境の違い

4%ルールは米国の株式市場を前提にした研究です。日本市場だけに投資した場合、同じ結果が得られる保証はありません。国際分散投資を取り入れる必要があります。

個人のライフスタイルによる差

生活費は人によって大きく異なります。都会で暮らすか、地方で暮らすかによっても必要資産額は変わります。「4%」はあくまで目安であり、自分に合わせた調整が不可欠です。


4%ルールをより安全に使う工夫

3%ルールで設計する

リスクをより抑えたい人は、取り崩し率を3%と設定する方法もあります。これなら資産が減るリスクはさらに小さくなりますが、その分必要資産額は増えます。

配当や副収入を組み合わせる

投資からの配当収入や副業収入を組み合わせることで、取り崩し額を減らすことができます。結果として資産寿命を延ばせる効果があります。

柔軟に取り崩す

株式市場が大きく下落した年には取り崩し額を減らす、逆に好調な年には多めに取り崩すといった調整を行うことで、資産を長持ちさせることが可能です。


日本人にとっての4%ルールの活用法

年金との併用

日本では公的年金があるため、全額を資産でまかなう必要はありません。年金額を差し引いた不足分を4%ルールで補う形にすれば、必要資産は大幅に少なくなります。

生活費の見直し

生活費を下げれば必要資産も下がります。FIREを目指す人は「いくら稼ぐか」だけでなく「いくらで生活できるか」を考えることが重要です。

税金の考慮

資産を取り崩す際には、配当税や譲渡益税が発生します。NISAやiDeCoなどの制度を活用し、効率的に取り崩せる仕組みを作ることが重要です。


まとめ

4%ルールはFIREや老後資金計画を考えるうえで非常に有効な指標です。「年間生活費の25倍の資産を築けば安心して暮らせる」というシンプルな考え方は、投資初心者でも理解しやすく、ライフプランの指針になります。

ただし、インフレや市場環境の変化、個人の生活スタイルなどによって必要な資産額は変わります。4%ルールはあくまで「目安」としてとらえ、自分に合わせて調整することが大切です。

FIREを目指す人も、老後資金を考える人も、まずは自分の「年間生活費」を明確にし、それを基準に資産形成の目標を立てていきましょう。

ちなみに杉山の支出は月56800円なので、1千7百万円あればFIREできる計算になります。流石に無理がある。

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